HPでは名古屋生活クラブがこれまで調べてきた論文などを掲載しています。

→こちら
ここではいくつか抜粋して掲載します。

食品でコレを気をつけてほしい①
トランス脂肪酸

マーガリンものがたり。最近CMに出なくなったマーガリンソフトには、こんないきさつがありました。ちょっと前までは、冷蔵庫から出してすぐ使える便利さと、「植物性だから体にいい」というふれこみでバターよりも健康的だと思っている方がほとんどでした。しかし名古屋生活クラブでは、社長さんが14年くらい前から配達中に「マーガリンは体によくないよ」と訴えていました。「チョコレートって常温で溶けないのに、どうして口の中で溶けるの?」という社長さんの疑問に「水素添加しているんですよ」と教えてもらい偶然マーガリンの作り方を知った時、作ったあとにできるトランス脂肪酸が毒だということをご存じで「こいつはヤバいなあ」と感じたそうです。 マーガリンの作り方です。液体の植物油に水素ガスを高温高圧でおしこめると、液体の油が常温でも固まるようになります。この固体の油の中にできてしまうのがトランス脂肪酸です。業務用の揚げ油やショートニングにも入っているので、マーガリン自体を食べなくても、フライドポテト、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、クッキー、菓子パンなどでたくさん召し上がっています。「自然界にも、牛の胃などにトランス脂肪酸はあるよ」という主張もありますが微量です。水素添加して作られたトランス脂肪酸の分子は波線のような形です。自然の油はアルファベットのユーに近い形です。人間に例えてみると、トランス脂肪酸は頭のつき方が自然じゃない感じです。マーガリンがバターよりも悪玉コレステロールを増やし、心臓病になる危険を増やすということを疫学調査で初めて証明したのがハーバード大学です。 ウォルター・C・ウィレット教授らの論文が、1993年イギリスの医学雑誌「ランセット」で発表されました。1日4さじ以上のマーガリンを摂った女性は心臓病のリスクが50%増えたという内容です。この論文を受けて世界のどこの国がどう動いたか見てみましょう。デンマークの対応は早く、翌年1994年に栄養委員会が「トランス脂肪酸は数年以内に食品から除かれるべきだ」と発表しました。デンマークのマーガリン業界は「ノントランスマーガリンはコストが高くつく」と反対しましたが、栄養委員会はファーストフード店に「トランス酸のレベルを下げるように」と要求しました。するとデンマークのマクドナルドはトランス酸のレベルをさげ、それを売りに変えました。そして2003年6月、すべての食品についてトランス脂肪酸を総油脂の2%までに制限するという法律ができたのです。食品業界の抵抗もありましたが、食品農業大臣が法制化のためにがんばったそうです。 アメリカでも心臓病学会が摂りすぎないよう勧告しました。けれども日本では、生協でさえマーガリンがよくないことを知っていても、マーガリンを売り続けていました。アメリカのFDA(食品医薬品局)が2006年1月からトランス酸の含有量の表示を義務化することを決定すると、ようやく日本でも一部週刊誌などのマスコミがトランス酸の問題をとりあげるようになり、人目につきやすくなってきました。韓国では2007年末に表示の基準を発表し、トランス酸の低減を進めています。安全の基準を子供に合わせています。韓国でお菓子を売っているロッテはトランス酸をゼロに変えました。日本でもミスタードーナツが低トランス酸を売りに変える選択をしています。でも国や油脂業界はトランス脂肪酸を表示する考えはありません。日本生協連も国と同じ考えです。「日本人はトランス脂肪酸の平均摂取量が総エネルギーの0.3%から0.6%と少なく、1%に満たないため大丈夫です。ふつうの食生活の人はとくに心配する必要はありません。」という見解です。でも平均してしまっていいのでしょうか?心臓病の人、ファストフードをたくさん食べる人などリスクの高い人にも無表示でいいのでしょうか?

トランス脂肪酸はマーガリンだけでなく、ショートニング、硬化油(カレールゥなどに使われる豚脂や揚げ油)などに含まれています。
バターなどに含まれる自然由来のトランス脂肪酸はこれらの工業的に作られるトランス脂肪酸とは別で考えるべきというのが現在の見解です。

また、最新の情報では、トランス脂肪酸は、冠動脈疾患(心筋梗塞につながる)のリスクを高める事が知られていて、世界中で年に50万人が余計に死亡していると推計されています (WHO)。

世界の対応は、
アメリカ
2018年6月から原則禁止
WHO
2023年までに排除
と世界は動き始めていますが、日本動脈硬化学会は、せめてトランス脂肪酸の量を表示するように要望書を出していますが、国が変わる気配はありません。(2020年現在)
これまで紹介した論文のまとめ
トランス脂肪酸について知ろう
論文

冠状動脈疾患のステント治療を行った患者の中には、薬を飲み続けているにも関わらず再発する患者がいる。
その原因を突き止めるために、神戸大学の石田達郎先生は追跡研究を行った。

Elevated Serum Elaidic Acid Predicts Risk of Repeat Revascularization After Percutaneous Coronary Intervention in Japan
Circulation Journal Vol.83,May 2019 神戸大学・石田達郎ら

内容 112人の術後の患者を対象に2年間追跡した。
血清中のLDL、中性脂肪、エライジン酸(トランス脂肪酸の1種)、薬の種類、ステント治療の種類、年齢、性別、体重、その他の病気(メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症など)などの項目を調査した。

結果 追跡調査結果の表。血清中のエライジン酸濃度が一番低いQ1グループでは、冠状動脈疾患の再発が3人、再発率5.6%だった。再発リスクはこのQ1グループを1とする。次にQ2グループは6人再発、再発率14.8%で、リスクは2.6だった。血清中のエライジン酸濃度が上から2番目に高いQ3グループでは、10人再発、30.2%も再発率があった。再発リスクは5.1。最後に、最もエライジン酸濃度が高いQ4グループでは、再発人数11人、再発率33.3%、再発リスクは5.6だった。Q3およびQ4グループの再発リスクの高さは、Q1グループと比較して統計的に有意に高かったといえる。 表をご覧ください。
Q1~Q4グループ分けは血清中のエライジン酸濃度で4グループ分けている。Q1が一番低く、Q4が一番高いグループである。
再発リスクはQ1グループと比較して、Q3グループ、Q4グループともに統計的に有意に高かった。
実際の再発人数として見てみても、100人当たりに換算するとQ3、Q4グループは30人以上の再発という結果だった。
これらの結果は、他の要因(コレステロールやステント治療の種類の違い)を補正しても、エライジン酸濃度が高いグループ(Q4)が統計的に有意に再発リスクが高かった。

追跡調査した患者112人の、血清中のエライジン酸濃度の分布。単位は、1リットルあたりナノモル。8ナノモルが15人、10ナノモルが22人、12ナノモルが15人、14ナノモルが20人、16ナノモルが14人、18ナノモルが6人、20ナノモルが9人、22ナノモルが2人、26ナノモルが3人、28ナノモルが1人、30ナノモルが3人、34ナノモルと38ナノモルが1人ずつ。

グラフは患者112人の血清中のエライジン酸濃度の分布。
平均してしまうと、10~16nmol/L当りになるが、30を超える人もいる。
このように、人によって食生活にバラつきがあることがわかる。

解説 術後、その人にあった薬を飲んでいたのにも関わらず、再発してしまった原因として考えられたのが、トランス脂肪酸だったという恐ろしい結果です。
トランス脂肪酸の多い食生活は心血管病のリスクと隣合わせです。
年間トランス脂肪酸による死亡者数は50万人以上といわれているほどなのです。

食品でコレを気をつけてほしい②
カラギーナン

天然なのに灰色の添加物カラギーナンに、気をつけて!暑くなるとこどもたちのおやつに大人気のゼリーやアイスクリーム。しかし市販品には原材料の増粘多糖類の中に、カラギーナンが多く使われています。カラギーナンは海でとれる紅藻で、ゲル状になりやすいのでとろみをつけるためのゼリーやドレッシング、乳飲料など数々の食品に使われます。
          しかし1982年、国際ガン研究機関(IARC)は、動物実験で「分解カラギーナンに発ガン性あり」としています。カラギーナンは寒天とちがい、もともと藻の中に硫酸を含む海藻です。2002年に行われた、アイオワ大学医学部のトバックマンらのラットを用いた動物実験でも、大腸ガンや消化管の潰瘍がみとめられ、食品への使用が問題視されています。ところが。 カラギーナン肯定派の学者の意見は、「それはネズミの実験で、人間にはあてはまるのか?」そしてラットの腸内細菌を人間の腸内細菌におきかえる実験をして「人の腸内細菌を入れたラットは発ガンしない」と反論。こういった学者がWHOで力を持っているのでカラギーナンは規制がかからず、世界中で、日本で、生協でも給食でも、増粘多糖類という表示で使用され続けています。その背景にあるのは経済的な問題です。例えば値段。ゼラチンは高いけれどカラギーナンは安いです。使いやすさはといえば、寒天は途中で固まったりして食品工業では使いづらいです。インドネシアでも日本の会社が養殖させていて、カラギーナンで生計をたてている人たちがいます。アイオワ大学のトバックマン氏は「ネズミだけじゃない、アカゲザルの実験でもカラギーナンの量に比例して、血便や潰瘍が多くなっている」と再反論しています。安全を白、危険を黒と例えれば、食品添加物は灰色では流通しています。真っ黒になるまで規制はかかりません。「自然の恵み、天然100%のゼリーのもと」という宣伝にも気をつけてください。カラギーナンの粉末の可能性があります。

カラギーナン・・・天然に存在する海藻から抽出され、とろみをつけたゼリーを固めたりするために「増粘多糖類」としてたくさん使われています。

カラギーナンの分解物が国際ガン研究機関で発がん性グループ2B(動物では発がん、ヒトでは不明)に分類されています。
腸内で分解された分解カラギーナンに発がん性がある、という研究に対し、これまで、ヒトにはカラギーナンを分解できる腸内細菌がいないのでヒト発がん性は不明とされてきましたが、最近の研究でカラギーナンを分解する腸内細菌が見つかり、ますます発がん性が疑わしくなってきました。
天然=安全ではありませんね。

これまで紹介した論文
カラギーナンで糖尿病になる?
カラギーナン(添加物)の胃腸への影響

食品でコレを気をつけてほしい③
パーム油

エコナに限らず、高温をかけた油には危険がともなう。市販のサラダ油は色もにおいもなく、きれいですが、においを取るために200度くらいの高温をかける過程で、発ガン性をもつようになる疑いのある不純物、グリシドール脂肪酸エステルや3-MCPD脂肪酸エステルができています。グリシドール脂肪酸エステルはエコナの出荷停止の原因となった物質です。エコナは他の油より量が多く、加熱しすぎだったのかもしれません。グリシドール脂肪酸エステルはヒトの体内、胃の中で発ガン性のあるグリシドールになる可能性が高いです。3・モノ・クロロ・プロパン・1,2ジオール脂肪酸エステル、略称3-MCPD脂肪酸エステルも、油を高温で加熱した時にできる不純物で、グリシドール脂肪酸エステルと同じようにグリシドールに変化する可能性に言及した論文がありました。 油、脂肪が加熱されて3-MCPDができるまで。分子式を元に開設します。加熱前の油、具体的にグリセリンは、横に3つ並んだ炭素原子Cを中心に、上と左右に水素原子Hが1つずつ計5個、炭素原子の下には酸化水素OHが1つずつ計3個くっついています。これを高温で加熱すると、右側の炭素原子の右についていた水素原子Hが塩素Clに変わります。左から3番目の炭素原子Cに1個、つまりモノの、塩素原子Cl、化学的名称クロロがついているプロパンになります。ちなみに塩素は毒物です。発ガン性がありシックハウス症候群の原因としても有名な、ジクロロプロパンと3-MCPDは形状が似ています。3-MCPDは塩酸分解のたん白加水分解物にも含まれる不純物で、WHOなどによって危険性が指摘されています。塩酸分解されたたん白加水分解物は、変異原性と呼ばれる、ガンを引き起こす原因になります。このようなたん白加水分解物はアミノ酸入りの即席めんや、味付きしょうゆなどに使われています。3-MCPDは精製植物油に生成するため、赤ちゃんの粉ミルクの原材料にも含まれています。ある粉ミルクでは原材料で2番目に多いです。ドイツ連邦リスク評価研究所、略称BfRは「乳幼児用粉ミルク製品は有害な3-MCPD脂肪酸エステルを含んでいる」と指摘。乳児の場合、摂取量が許容量を数倍から数十倍超えています。特にマーガリンに多い精製植物油を多量に摂取している人は、大人でも許容量を超える可能性があります。

名古屋生活クラブがパーム油に着目したきっかけは、2016年5月に欧州食品 安全機関(EFSA)が公表した「植物油類及び食品中の加工汚染物質類のリスク評価」でした。
そして、各国が低減化に向けて動き始め、特にイタリアではすぐにコープがパームフリー商品の開発に取り組みました。
これを受けて、名古屋生活クラブでもわっぱんにショートニングを使わないパンを作れないかとお話したり、勉強会をしたりしてパームフリーのパンが実現しました。
また、パン粉の取扱いも見直しました。

調査
油の種類ごとの、グリシドールと3-MCPDの含有量をあらわした表です。油1kgに対して、1mg以上含まれていると含有量が多いとされます。パーム油1kgあたりグリシドールは1.2mg、3-MCPDは3.3mg。3-MCPDが格段に多いです。オリーブ油1kgあたり、グリシドール、3-MCPDの両方とも0.2mg。菜種油1kgあたり、グリシドール0.2mg、3-MCPDは0.1mg。オリーブオイルと菜種油は両方とも少ないです。米油1kgあたり、グリシドール2.9mg、3-MCPDが0.5mg。グリシドールの含有量がトップクラスです。グレープシードオイル1kgあたり、グリシドール1.2mg、3-MCPDは2.6mg。両方とも1mgを超えています。

(出展: 食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査の結果について(平成24、25年度) (平成26年12月17日 農林水産省消費・安全局))

パーム油だけでなく、米油、グレープシードオイルにも多く含まれていることがわかります。
また、パーム油は世界で作られる油の約25%を占め、安価であることから、様々な食品に使われています。
現在では、低トランス脂肪酸をうたうマーガリンの原料油としてパーム油が使われるようになっています。
トランス脂肪酸が減っても、パーム油に発がん物質が含まれていては、問題が移っただけのように思いませんか。

これまでに紹介した論文
油の選び方|米油-パーム油
粉ミルクの安全性
パーム油にも含まれる発ガン性物質「3-MCPD」の許容量
植物油脂及び食品中の加工汚染物質 -パーム油には発がん性物質が多く含まれている-

腸活をすることが健康への近道?

近年、腸内細菌と様々な病気との関連を伝える論文が出てくるようになりました。
  • 自閉症
  • アレルギー
  • 自己免疫疾患(喘息 多発性硬化症・関節リウマチ)
  • 肥満
  • 2型糖尿病
  • 脳卒中
  • 心臓病
  • 動脈硬化
  • 神経難病
  • 慢性肝臓・腎臓病
  • など

つまり、私たちの健康は腸内細菌次第かもしれないんです。
農薬や添加物が気になる人、まずは腸活が大事ってこと知ってください。

腸内細菌の種類自体は産まれたときから子供(5歳ぐらいまで)の間に決まってしまいます。
子供のうちに自然と触れ合ったり、いろんな食品を摂ったりといった様々な経験が将来につながるということですね。
しかし、諦めるのはまだ早いです。
いま、自分が持っている腸内細菌の中で、どの種類を優位にするかというのはあなた次第。
発酵食品の様々な乳酸菌や食物繊維の多い食事は、善玉菌を優位にしてくれます。

WHOの見解

WHOがまとめた研究結果より”25~29g/日の摂取で総死亡率、罹患率が減少 多く摂れば摂るほど減少する”

WHOがガイドラインを出すためにまとめた研究について、2019年1月The Lancet(医学雑誌)に最新情報が掲載されました。
こちらによると、全世界中で食物繊維は20g以下しか取れていない。
25~29g/日の食物繊維の摂取量で、病気による死亡率、罹患率、それらが15~30%減少するというのははっきりしている。(血糖、血圧、コレステロールの低下にも効果あり)
また、これ以上の摂取量になれば、比例して効果が高いだろうとも書かれています。
もう一つ重要なのは、この食物繊維の効果は、自然に食品に含まれているもの。合成や抽出され後から付け加えるものではない、ということです。
注意点:但し鉄・ミネラル不足の方は食物繊維の摂りすぎはよくないかもと書かれています。

以上から、やはり名古屋生活クラブでは「摂ろう食物繊維1日30g」が目標です。
これは容易なことではありませんが、できるだけ意識してほしいと思っています。

摂ろう食物繊維1日30g。いろんな研究で、肥満、糖尿病、脳卒中、ガンなどに効果があるとわかってきています。1日30gってどのくらい?ごはん1膳の場合、大麦と白米を35gずつ5対5で炊くと、炊きあがり150gで食物繊維は4.5gになります。食物繊維は炊く前の大麦35gには4.3g、白米35gには0.2gです。白米だけだとパンより少ないです。白いパンは100gあたり2.3g食物繊維が入っています。主食で、めざす量の半分近くをとれれば、あとはおかずとデザートでいけるかも。例えば、きなこ入りデザートで食物繊維が1.8g。納豆なら3.4g。ゆでた小松菜と豚しゃぶで合わせて2.4g。ワカメととうふのみそ汁で2g。ひよこ豆入りサラダなら4.6g。でも注意してね。ジョージア州立大学の研究より、抗生物質や食品添加物は腸内の細菌叢を悪くし、人工的に作られた食物繊維、例えばネットでも販売されている水溶性食物繊維イヌリンなどは、ネズミの実験でガンを発症させています。
おすすめの食材
  • 麦ご飯
  • 全粒粉を使ったパンやパスタ
  • 豆類
  • 海藻
  • きのこ
  • 根菜(さつまいも、ごぼう、長芋)
  • 果物(りんご、バナナなど)
これまでに紹介した論文のまとめ
共生細菌について知ろう