320日、京都佃煮屋・津乃吉の吉田さんを迎えて交流会を行いました。最初に会員さんの目の前で京だしを作り(作った京だしは会員さんへのお土産になりました)、みんなで京だしを使った料理(@ぶっかけうどん、A鶏肉のトマトソース煮込み京だし風Bベーコンときのこ炒め)を作りました。

吉田さんにとって京だしとは「津乃吉の旨みの頂点」。津乃吉の看板メニューに山椒じゃこがありますが、京だしは、そんな山椒じゃこを作る際に余る煮汁を何とか使えないか、「無駄をなくして全てを使い切る」という理念から誕生したものでした。「京だしは和食だけでなく、洋食・中華と何でも合う調味料なんです。だから京だし1本でどんな料理も美味しく仕上げられるんです」京だしに絶対の自信を持つ吉田さんの言う通り、作った料理はどれも美味しく、鶏肉のトマトソース煮込みにも驚くほど京だしが合っていて、みんなびっくりしていました。また、講師テーブルで、サンプルで作ったパスタにも京だしが使われていましたが、これも美味しい!本当に京だしが万能調味料なんだなと理解した瞬間でした。実は吉田さん、素材に出会うと「こうしよう」とほぼレシピが出来上がるそうです。そのため料理を作る時レシピがないとのこと。津乃吉の中でも同じで、素材に出会うとやはり「こうしよう」とほぼレシピが出来上がる。この素材の持ち味を捉える「直感力」について吉田さんは、「幼少期の頃の貧しかったけれども、木の実や山菜など、自然の旬の素材にたくさん触れた経験が生きていると思います。」と話してくれました。そして、「自分がいいと思うものしか作れないんです。だから素材に出会って商品化になるまで調理方法や他の材料の選定など本当に試行錯誤することは多々ありますが、「これだっ!」と思うものができた時は本当に幸せなんです。」美味しそうに料理を食べる会員さんを見ながらこう話す吉田さんはもっと幸せそうでした。

交流会の最後は、吉田さんの人生の中で欠かせない尺八の演奏でした。「20代の頃に出逢った尺八のおかげでこうして佃煮作りができ自分の人生を切り開いてくれた。尺八で世間にお礼がしたい」そんな思いで2003年に「心音(ことね)」を立ち上げ、演奏会の収益を紛争で心身ともに傷ついた子供たちを保護するドイツ国際平和村へ寄付しています。吉田さんの演奏する尺八に、その場にいた全員がその厳かな演奏に聴き入っていました。

今回の交流会では、改めてだしの魅力を知って頂き、素材の持ち味をうまく捉え自分がいいと思うものだけを提供する料理人として、また世界平和を願う尺八演奏家としての吉田さんの人柄に触れて頂きました。

そしてもう一つ、吉田さんの話の中で、今の食生活を改めて考えさせられることがありました。贅沢な食とは、何も霜降り牛肉や高級食材を食べることではなく、普段の食事を豊かにすることではないでしょうかということです。普段使う食材からいい食材(天然、有機栽培など)へ切り替えることはお金が掛かる。だからなるべくシンプルな料理にすることで手間も材料も省くことができる。津乃吉で作る商品は、決して安くないけども、吉田さんが納得したいい食材をシンプルに頂くことができる。食生活を改めて考えるきっかけのように感じました。

「これからも佃煮を通して、そして尺八を通して自分も幸せにみなさんも幸せにしていきたいです」こう話す吉田さん。これからもその「直感力」で納得のいくいいものを提供し続けてください。