■河田昌東さん講演会のご報告
4月22日、河田昌東さんによる「六ヶ所村再処理工場」に関しての講演会を開催しました。
河田さんのレジュメをもとに講演会の報告をします。
六ヶ所村再処理工場と放射能
はじめに原発を運転したり、核兵器を作ったりすれば、必ず放射性廃棄物が出る。日本には現在55基の原発が稼動していて日常的に放射能を作り出している。それはいずれ放射性廃棄物となって私たちの生活環境に帰ってくる。使用済み燃料の中に含まれる様々な放射性廃棄物(死の灰)とプルトニウム、燃え残りのウランを分離するのが「核燃料再処理工場」である。国は分離したプルトニウムを「プルサーマル燃料(ウランと混ぜて原発で燃やす)」として利用しようとしている。しかし、プルトニウムは核兵器の原料にもなる。再処理工場からは膨大な放射性廃棄物が出るので、周辺の大気や大地、海の汚染が心配されている。
(1) 原発の燃料はウラニウム235という金属である。それ自身弱い放射能を持っている。原発(100万Kw)では年間約1トンのウラン(〜10キュリー:Ci=370億ベクレル:Bq)を燃やし、50億Ciの放射能を作り出す。原発は電力を作ると同時に放射能を増幅する装置でもある。
(2) 原発の使用済み燃料の燃料棒の中には、様々な放射性廃棄物(核分裂生成物という)が詰まっている。再処理工場では、原発から運び込まれた使用済み燃料を、裁断し、硝酸で抽出してこれらを取り出す。溶媒抽出という方法で、硝酸溶液から燃え残りのウランやプルトニウムを取り出し、残りは高レベル放射性廃棄物とする。六ヶ所再処理工場は年間800トンの使用済み燃料を処理し、合計では10000トンの処理を目指している。
(3) 再処理の過程で、燃料棒に詰まっていた放射能のうち、クリプトン85やキセノン133等の希ガスといわれる放射性ガスは、100%大気中に放出される。世界中の再処理工場の排気で、地球の大気中のクリプトン85濃度はじわじわ上がっている。六ヶ所村再処理工場からは、年間330000兆ベクレル(=890万Ci)の気体放射能が外部に放出される。
(4) 再処理の過程で出る液体廃棄物の一部は、廃水とともに外部に放出され海を汚染する。
(5) まとめると以下のようになる。
気体廃棄物:クリプトン85(3.3×1017 ベクレル=890万Ci)
トリチウム(2×1014 ベクレル=54000Ci)
炭素14 (5.2×1013 ベクレル=1400Ci)
ヨウ素129と131(690億ベクレル=1.85Ci)
液体廃棄物:トリチウム(1.8×1015 ベクレル=49万Ci)
ヨウ素129と131(2060億ベクレル=5.6Ci)
その他(コバルト60、セシウム137など)(7096億ベクレル=19.3Ci)
● 気体廃棄物は工場の排気塔から大気中に放出する。
● 液体廃棄物は導水管で海の沖合い3Kmに放出する。
(6) プルトニウムと燃え残りウランを取ったあとの硝酸に残った放射能は、乾燥してガラス固化体に加工し、高レベル廃棄物処分場にまわす予定だが、国内では高レベル廃棄物処分を引き受ける自治体はまだない。ガラス固化体は、15秒近づいただけで即死するほどの高レベル放射線を出す。
(7) 国は、取り出したプルトニウムで高速増殖炉(もんじゅ)を運転し、さらにプルトニウムを増やす「核燃料サイクル」をめざすが、高速増殖炉の先輩国(イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ等)はプルトニウムが増えないことが分かったとして、いずれも計画を破棄し、核燃料サイクルから撤退している。現在、再処理を行っているのは、日本が委託しているイギリスのセラフィールドと、核兵器用の小規模再処理を行っている国だけである。北朝鮮は、核兵器を作るために再処理を行い、数10Kg(核兵器数発分)のプルトニウムを保有しているとして非難されているが、日本はすでに海外(イギリス、フランス)と国内東海再処理工場で作ったプルトニウムを40トン以上保有しており、核兵器5000発分に当る。
(8) 過去の汚染例としては、イギリスのセラフィールド(前はウインズケールと呼ばれていた)再処理工場や、フランスのラ・アーグ再処理工場の例がある。
セラフィールド再処理工場は、国内原発の再処理のほか、軍事用再処理や、日本の使用済み燃料を再処理してきた。周辺海域の汚染で有名である。また、周辺で白血病が他の10倍多発していると言われている。六ヶ所再処理工場も、長期間の稼動や事故による多量の放出があれば、危険である。
(9)被曝には、外部被曝と内部被曝がある。多くの場合、被曝の被害は外部被曝のみで評価すること
が多く、内部被曝は低めに評価されることが多い。国の基準では、内部、外部合わせて1年間の被曝線量基準を1ミリシーベルト(=0.1レム)と定めている。
食品基準は:魚や肉、野菜は370ベクレル/Kgである。
1Bq(ベクレル)=27pCi(ピコキュリー)
(10) 体内に蓄積する放射能は、核種によって異なる。
ヨウ素131(甲状腺)、セシウム137(全身、筋肉など)、ストロンチウム90(骨)
コバルト60(肝臓)、ウラン、ルテニウム(腎臓)、プルトニウム(肺)など。
(11) 放射性廃棄物は、原発の運転中にもでる。多くは汚染除去廃棄物などで低レベル廃棄物と呼ばれるが、量は膨大である。すでにドラム缶200万本を超える。六ヶ所再処理工場が稼動すればさらに増える。全国の原発から出る低レベル廃棄物も六ヶ所村に貯蔵される。六ヶ所再処理工場が稼動すれば、当然高レベル廃棄物が発生し、その処分場が必要になり、今後全国に候補地が探される。中部地方では、岐阜県東濃地方に高レベル廃棄物処分の研究施設がある。
最後に
再処理工場が稼動を始めれば、六ヶ所村周辺の放射能汚染は確実に増えるだろう。そのレベルは、すぐに健康被害をもたらすものでは恐らくない。しかし、長期的な安全性は損なわれざるを得ない。原子力に頼らないエネルギー・システムを作らない限り根本的な解決はない。 そもそも、六ヶ所村は、日本の1960年〜70年代の高度成長期に、農業にも適さない広大な土地を、巨大石油備蓄基地にする目的で国の指導で整備したものである。石油備蓄基地の需要がなくなり、使い道のない借金付けの土地に、青森の人々は核燃料施設を受け入れざるを得なかった。今では日本の原子力エネルギーにとってなくてはならない場所となっている。六ヶ所村の放射能問題は、日本のエネルギー政策がもたらした当然の結果である。
原発の燃料ウランは、石油や石炭と同じ化石燃料である。現在のままで使い続ければ、今後50年くらいしかもたない。地球温暖化対策として原発を増やしたり、中国やインドなどのエネルギー需要増加で原発を増やせば、さらに寿命は短くなる。 その結果は、膨大な放射性廃棄物の蓄積であり、何千年にもわたる我々の子孫への負担を増やすのみである。六ヶ所再処理工場の問題は、私たちの生活の安全をどう守るか、という問題であると同時に、未来のために私たちが今どう生きるかを問う問題でもある。
来て頂いた方に最も印象に残った事を伺いました
プルトニウムサイクルが巨大ビジネスのために作られたという事実。90年かかってやっと1年分の燃料ができるという事実。これが事実であっても止められない現実。1人1人の意識が変われば今の日本を変えられるかも知れないという希望。研究者の方からはっきりと「再処理工場はムダ」という言葉が聞けたことが印象に残った。
やはり六ヶ所の問題も”お金”に行き着くのだという事。河田先生も原発がなくても良いと思われているという事。
お金、経済に振り回される人が少なくなるように、まず自分から変わっていくことが大切だと思いました。長い目、大きい目で見ることが必要だと思いました。
パニックになって悲観するよりも夢をもって将来を考えたいです。電力がいつか選べる日が来るかも?
全世界が撤退した核燃料サイクルを推進しているのが日本だけだという愚かな事実。
この事に限らず弱者(口のない所)にいろいろな事をしいているなあと思いました。悲しくなりますね。
事実を知ろうとこのような問題に注目していき続けることや、電気を使う活動を控えめにしていくこと。子供に電気を大切にする暮らしを教えていくことしか思いつきませんがせめてそれ位していきたいです。
原子力がいるー!みたいな動きに少しでも加担していきたくないので。とにかく原子力発電の仕組みや出来た背景、世界の動きなど無知すぎる自分に気付きました。多分こんな人多いんじゃないでしょうか。これではこんな大きな問題を克服するなんて難しいですよね。勉強します。
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