ニューヨークタイムズ 2011年3月15日
警告は1972年からたびたびされてきました。
冷却がマークT型原子炉(福島原発の型)で失敗すると、炉を囲んでいる格納容器は、燃料棒が過熱すると、おそらく破裂する。
危険な放射能が環境にまき散らされるだろう。
福島第1発電などのマーク1型原子炉は、1960年代にゼネラルエレクトリック社によって開発されたのですが、弱さをかかえており、今回の悲劇の原因になっている。
炉を冷やす能力が弱くなると、格納容器が最後の防波堤になります。
他の型の原子炉、たとえば加圧水型炉では、厚い鋼鉄とセメントで守られています。
世界中のほとんどの原子炉はこの加圧加型炉です。(日本では関西電力など訳注)
しかし、福島第1発電所の原子炉の格納容器と圧力抑制システムは、比較して弱く、緊急時によりぜい弱であると考えられてきました。
アメリカ国内では、16ヶ所23原子炉はマーク1型炉です。
ゼネラルエレクトリック社は、このマーク1型沸とう水型原子炉を1960年代から製造を始め、安くてより作り安い原子炉として販売してきました。
それは、容器がより小さく安く作れるからです。
アメリカの規制当局は、初期から、そのぜい弱さを、認識してきました。
アメリカ原子力委員会の安全担当官にその後就任したステファン・ハナウアーは1972年にマーク1型原子炉は、危険性があるのでやめるべきだと勧告しています。
その中で懸念材料として、格納容器が小さいことが爆発と水素ガスの蓄積に対しより弱いことを述べています。
このことは福島第1原発で実際に明らかになった可能性があります。
同じ年にジョセフ・ヘンドリー、この人は後にアメリカ原子力規制委員会の議長になりましたが、この型(マーク1型)は禁止にするべきだと述べています。
しかし、この型は広く産業界と規制当局に受け入れられているので、「この神聖な政策の転換は原子力の終えんをもたらす可能性がある」とも述べました。
1980年代中頃になると懸念はさらに深まります。
アメリカ原子力規制委員会の担当官、ハロルド・デントンはマーク1型原子炉は、燃料棒が過熱し、溶けた時、90%の確率で爆発すると述べています。
産業界はこれに反論し、その確率は、10%位だと言いました。
1980年後半になると、いくつかの施設と原子炉の運転者はゼネラルエレクトリック社を告発すると脅しました。
それは1975年にさかのぼってゼネラルエレクトリック社の内部文書を明らかにしたところ、そこには、格納容器の規格が充分に試験されておらず、かつ安全性に対する欠陥がある可能性がありました。
ゼネラルエレクトリック社の責任は、日本では限定的になるだろう。
それは、日本の規制当局が多くの責任を負っているからだが、それでもゼネラルエレクトリック社の株価は31セント下がった。
解説
日本にある原子力発電所は次の2つのタイプです。
沸とう水型原子炉 東京電力、中部電力など
加圧水型原子炉 関西電力など
今回のニューヨークタイムズの記事は福島第1原発の1号〜5号、すべてがマーク1型と呼ばれる原子炉であること、そのマーク1型原子炉は安いけれどぜい弱であることが1972年からアメリカの当局者が認識していたことを報道しています。
ちなみに中部電力浜岡原子力発電所も3号、4号はマーク1型改良型です。
僕が一番危険に思っている原発は福井県にある高速増殖炉もんじゅでこの原発は、水の代わりに液体ナトリウムを使っています。
そのため、今回の様に海水を使って冷却することなどできません。
液体ナトリウムは水と触れると爆発するからです。
(伊澤)
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