生産者訪問記

「素朴で無欲、ものすごい行動力と研究心」 田村さんはやっぱり素晴しい生産者でした!

田村さん

4月25日(日)北海道知床から田村さんを招いて、会員さんと試食を兼ねた交流会を行いました。田村さんは北海道知床で自給自足の生活を送り、僕たちに「知床田村豚」や「知床平飼い卵」を届けてださっています。田村さんの豚肉が大好きな僕はこの日を心待ちにしていました。

実際にお会いした田村さんは「素朴で無欲、ものすごい行動力と研究心」で素晴しいお人柄でした。この人が育てた豚なんだから…と田村さんの豚肉のおいしさが改めて納得できました。田村さんは中学時代に読んだ本から北海道での生活に興味を持ち始め、北海道大学に進みました。在学中に趣味の山歩きをしながら自分が将来住むところを探し、見つけ出した土地がへき地であったために新鮮な野菜が手に入らず、それならば…と野菜作りを始めました。荒れた土地を耕すのも大変な作業だったそうです。その後、野菜作りに必要な鶏糞を得る為に鶏を飼い始めましたが、しばらくすると鶏が玉子を産み始めたので、玉子の販売を始め、自給自足の生活が始まると肉が食べたいからと豚を飼い始め、今ではこだわりのベーコン、ソーセージ作りに夢中になっています。全ての行動が「自分に出来ることは自分でやりたい」という気持ちから始まっています(しかも人から教わるのではなく本などで自分で調べています)。

3頭から始めた養豚ですが今では60頭まで規模が大きくなりました。だけど、自分の目で豚の顔を見て、様子を見ながら飼っていくには今の規模が限界なので今後増やしていく予定はないそうです。「田村さんの豚肉は足りなくなったから社員は欠品ねー」なんてこともよくあるのでちょっと残念(涙)。だけど利益を優先しない田村さんの姿勢は嬉しいことですね!

田村さんにとっては自分が食べたいものだから安心安全は当たり前で、特別なことをしているという気持ちは全く感じませんでした。「田村さんが育てた豚肉や玉子、加工品をいただくことは、田村さんの生活の一部を分けてもらっているんだな」という気持ちになりました。 交流会の最後に社長から、名古屋生活クラブが安全な豚肉を探し続けてきて田村さんと出会うまでの話がありました。今では日本国内でも養豚は多頭化が進み、数先頭が当たり前になっています。豚肉の価格低下が原因にあります。だから養豚業者は出来るだけ手間をかけずに、早く、大きくして出荷したいのです。だから濃厚飼料を与え、病気を防ぐ為に抗生物質を与えるのです。豚一頭育てるのに半年かかっても約20000円にしかなりません。その内の利益はたったの1000円程度。赤字になることもあるそうです。考えてみて下さい。一軒の農家が500万円の利益を出すのに何頭飼わなければいけないでしょうか?国産だから大丈夫という世界ではありません。

今回の交流会を通じ、あらためて名古屋生活クラブが扱うものと市販の安いもののちがいを強く感じました。田村さんの豚肉をはじめ、安心安全な食材を自信を持って会員の皆さんにお届けできる自分の仕事に自信と誇りを感じました。

(筒井康之)