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セリアック病に関する乳児の食事の影響

論文で紹介します。

A case-control study of the effect of infant feeding on celiac disease
セリアック病に関する、乳児の食事の影響―ケースコントロール研究
Peters U. 栄養食品科学研究所 キール大学 ドイツ
Ann Nutr. Metab 2001 :45(4)135-42

143人の、セリアック病の子供と、137人の対照者の子供で比較した。

母乳育児が2ヶ月以上の場合、2ヶ月未満に比べ、セリアック病は63%低下。

最初にグルテンを食べさせた年齢は、3ヶ月以後は3ヶ月以下に比べ0.72(統計的に有意でないが、発病の年齢には関係していそうだ)

解説

セリアック病は、グルテンに対する抗体が作られることによって、発病する自己免疫病です。

グルテンは、グルテニンとグリアディンの2つのタンパク質。グリアディンはユニークなタンパク質で、多くのグルタミンを含んでいる。組織中のトランスグルタミナーゼは、グルタミンの脱アミドを触媒し、グルタミン酸に変換する。

グリアディン分子内の、グルタミンからグルタミン酸への変換で、クラスU抗原、DQ2かDQ8に結合することで、グリアディンペプチドの抗原性を高める。

主要組織適合性抗原の特定の型がグルテンによる自己免疫病、セリアック病と関連している。

セリアック病は、133人〜250人に1人という高い割合。症状は下痢などの腸症が主で、それ以外に、疲労、倦怠、貧血(葉酸、ビタミンB12、鉄などの吸収阻害による)

今回の調査でわかることは、母乳哺育を長めにすることで、食物アレルギーの一種、セリアック病のリスクが低下することです。

(2012/06/08 掲載)