食品安全情報:名古屋生活クラブ

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腸内細菌のアレルギー免疫への影響

論文で紹介します。

Toll-like receptor 4 signaling by intestinal microbes influences susceptibility to food allergy
腸管中の細菌が関係しているトールライクリセプター4が食物アレルギーに影響する
Mohdmed Elfaith ハーバードメディカルスクール アメリカ
The Journal of immunology 2004 172: 6978-6987

バクテリア糖脂質のリセプターである、トールライクリセプター4(toll-like receptor 4)の機能を持っていない別々の3つのねずみの種が食物アレルゲンの腸管内投与でアレルゲンに対するIgE、血清ヒスタミン値の上昇、アナフィラキシー症状などを示すのに対し、トールライクリセプター4の機能を持っているねずみの種は、上記の様なアレルギー症状を示しませんでした。

トールライクリセプター4の機能を持っているねずみの腸内細菌そうを減らしたり、抗生物質投与で変えたりした場合、トールライクリセプター4の機能を持っていないねずみと同じ様に、アレルゲン投与でアレルギー症状を示しました。

そのねずみに腸内細菌を戻してやると、アレルゲンに対するIgEと、アレルギーのケイトカインの反応は、減少しました。

これらの事から、腸内細菌が関係しているトールライクリセプター4が食物アレルゲンに対するアレルギー反応の高進を阻止していることが示唆された。

トールライクリセプター4の概要

普通(野生型)のねずみは、トールライクリセプター4を持っています。トールライクリセプター4は腸内細菌の糖脂質と(結合し?)それが刺激となって、免疫細胞をアレルギーを違う方向へ切り替えます。この論文のねずみ(突然変異型)は、トールライクリセプター4が機能していないので(持っていないか機能を失った)免疫細胞がアレルギーの方に向かっていき、少しの刺激でもアレルギーが起きる状況になっています。

免疫細胞とトールライクリセプター4の関係

人類史上、いや生物史上、細菌感染が少ないことは、無かったでしょう。当然の様に子供は細菌感染を受け、それにより、免疫系が発達するとともに、免疫系はアレルギーの方向ではなく、細菌感染に備えたシステムになっていったのかもしれません。免疫系は、他者と自己を見きわめ、他者を排除するために、進化してきたわけです。他者による教育があって初めて、うまくいくシステムが免疫なのかもしれません。食物アレルギーの原因はよくわかっていませんが、現状では、「腸内細菌そうが大事」ということではないでしょうか?

(2007/09/24 掲載)