食品安全情報:名古屋生活クラブ

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市販および自家製漬物のちがい

市販および自家製漬物における遊離アミノ酸の種類と量のちがい
塚田 三香子 小西 昌子 聖霊女子短大

目的

市販の漬物は漬け込む期間や製法が自家製の場合とは異なり、乳酸菌などの発酵による家庭を経ていない場合も多い。市販の漬物ではこの発酵による旨味成分を補うためにL-グルタミン酸ナトリウムなどの添加物を加えているが、食品表示のみでは添加されているアミノ酸の種類と量は不明である。今回、市販及び自家製の様々な漬物を材料として遊離アミノ酸の同定と定量を行うことにより、市販品に添加されるアミノ酸を推定し、自家製の漬物に現れる遊離アミノ酸について特徴づけることを目的とした。

方法

秋田市内の大規模小売店から購入した糠漬け7種と自家製漬物(糠漬け4種、糠漬け以外9種)から、エタノールによって遊離アミノ酸を抽出し、液体クロマトグラフ法を用いて39種類のアミノ酸とアミノ酸関連物質の同定と定量を行った。

結果

市販の漬物には全体で39種類中26種、自家製では全体で34種のアミノ酸と関連物質が検出された。セリン、グルタミン、グリシン、アラニン、α-アミノ酪酸、バリン、γ-アミノ酪酸、は全ての漬物に検出された。漬物1g中に含まれる平均値で比較した場合、市販品ではグルタミン酸、γ-アミノ酪酸、グルタミン、グリシン、アンモニアの順に、自家製品では-アミノ酪酸、アラニン、アンモニア、グルタミン、セリンの順に多かった。市販品では自家製品に比較し、グルタミン酸は18倍、グリシンは7倍多く含まれており、この2種が添加される場合が多いと推定された。グルタミン酸添加量は漬物1g中に約1.1mgと推定された。

(2012/06/25 掲載)