食品安全情報:名古屋生活クラブ

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ジアシルグリセロール(DG)を主成分とする油脂

論文で紹介します。

ジアシルグリセロール(DG)を主成分とする油脂(例:エコナ)には、トリアシルグリセロール(TG)油脂(オリーブオイルなど一般的な植物油)と比較して体脂肪を減らす効果があり、それらを含むマヨネーズでも効果は同様であるといわれています。

その一方で、こんな実験結果もあるのです。

『マヨネーズの食後血清中性脂肪に及ぼす影響』としてお茶の水女子大学 生活環境センターが試験をし、その結果を報告しています。 平均年齢42.8歳・空腹時血清中性脂肪が少し高めの一般成人男性 14名を対象に

TG油脂70%を含むTGマヨネーズ(103.5Kcal)

TG油脂30%を含むTGハーフマヨネーズ(50.3kcal)

TG油脂14%とDG油脂50%を含むDGマヨネーズ(103.4Kcal)

(油脂の脂肪酸組成はほぼ同じになるように調整して試験)

の3種類のマヨネーズタイプを摂ってもらい、食事後6時間までの食事由来の血清脂質とリポ蛋白脂質の及ぼす影響を検討したというものです。

血清中性脂肪濃度と小腸で吸収された食事由来の外因性脂質を運ぶカイロミクロンはTGハーフマヨネーズでは増加変動が一番少なく、TGマヨネーズとDGマヨネーズは経過時間の変動、増加量に差は認められませんでした。

また、血清RLP−CM(マクロファージが取り込みゴミとして動脈壁に蓄積して、動脈硬化を引起す原因の1つ)の値はDGマヨネーズがもっとも高い値で推移し6時間経過後も若干ですが高い値を示しました。

すなわち、この結果からみると、TGマヨネーズもDGマヨネーズも血清TGの増加にもたらす影響は同じで、TGハーフマヨネーズの方が血清中性脂肪、カイロミクロン、血清RLPコレステロールの増加を抑制しているということより、油脂の構造の違いではなく摂取する油脂量を減らした方が、食後高脂血症には効果的であるということです。

2つの結果の違いをどうとらえたらいいのでしょうか?

どんな油脂も1g−9kcalです。摂り過ぎれば体に良い訳がありません。油を摂る量を控えることで摂取カロリーを抑え、バランスのとれた食生活を心がけること大切で、余分に食べて増えてしまった中性脂肪をまた食べることで減らそうとするより、余分なカロリーを摂らないことのほうが賢明ではないかと思うのです。

もし、安全性や効果の信頼性を疑いながら、『体には良いといわれているから』と使うより、自然の恵みを十二分に受けた、より自然に近い良質の植物油を、必要な量だけ食すほうがよいのではないでしょうか。

(2012/06/25 掲載)