哺乳類の中枢神経系にある多価不飽和脂肪酸は、次の2つの長鎖脂肪酸、すなわち、ドコサヘキサエン酸(DHA)とアラキドン酸(AA)がしめている、多価不飽和脂肪酸は、(体内で合成できないので)食事に必ず必要な成分で、それが、妊娠中や哺乳中に不足すると、正常な知的な脳の発達ができなくなる。人類にのみ、ユニーク(特徴的)な点は、母親から運ばれてきたエネルギーの70%を、脳が消費することです。DHAとAAは、胎盤や胎児の組織の細胞膜が機能するのに必要です。
現代では、母親からのDHAとAAが胎児の成長に不足しています
ホモ・サピエンス(人類)は、大きな、複雑なエネルギーを浪費する脳を進化させましたが、現在の環境は、それに必要な多価不飽和脂肪酸を充分に提供してくれません。(食事中に多く含まれていない)
沿岸の水産物や湖からの食料は、(脳に必要な)長鎖多価不飽和脂肪酸を、より多く含みます。(陸上の食料に比べて)
食料中のDHA量は、陸上動物の肉に比べ、海の魚や貝は2.5倍〜100倍多く含んでいます。
陸上動物の中では、海鳥が多価不飽和脂肪酸を多く含みます。陸上動物の脂肪は、血管の病気や心の病に関連しています。一方、海の食料の脂肪は、それらに防御的であることが証明されています。初期の人類の食料の証拠として、魚の骨や貝塚の存在があります。
河や河口にいる魚や貝、海鳥やその卵などが初期の人類に、必須な多価不飽和脂肪酸を供給した可能性があり、それらの採取には、集団的な狩りや洗練された技法などを必要としていません。
それらの食料の利用が長い世代にわたって、脳の発達を可能にし、ホモ・サピエンスの進化を可能にしたのです。
陸上のさると哺乳類は、陸上の食料のみに限定された場合、体を大きく進化させるにつれ、1つの例外もなしにすべて、脳と血管系が退化していきました。
(2010/07/29 掲載)