食品の安全性評価はどうあるべきか 〜エコナ問題の教訓〜
2009年12月5(土) 総評会館
パネラー
菅野純(国立医薬品食品衛生研究所毒性部長、元食品安全委員会新開発食品専門調査会専門委員)
中村雅人(弁護士、内閣府・消費者委員会委員)
植田武智(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議事務局)
コーディネーター神山美智子(弁護士、食の安全・監視市民委員会代表)
- 食品安全員会では、前半は安全性に関してのみ、議論していたが、後半から効果も含めて議論するようになった。効果は特殊な人にのみ通用する場合が多いのに、メーカーはそのことを明らかにしていない。
- 効果はほとんどの場合、少ない
- コエンザイムQ10などは薬として使われていたが、効果が低いので、薬から落とされた。実は毒性もある。
- 薬などは生体の10箇所くらいに作用する場合が多く、その内1箇所は薬として有益に働くが、残りの9箇所は副作用として害作用する。薬はそのようなプラス面、マイナス面の両方から考えるが、特保は効果のみ。
- 食品の安全性は添加物など微量のものは扱えるが、5%を超えて摂取する様な食品の場合は、検出できない。5%を越すと、カロリーが増加したり、ほかの栄養素が減ったりするので、実験として組めない。自分は遺伝子組み換え(とうもろこし?)の実験をいやいややらされた
- シグナルかく乱(神経、内分泌など)は軽いかく乱でも成長期の子供には障害が残る場合がある。(大人は影響ない。3歳未満の子供に2日眼帯をつけただけでも弱視になってしまう)ビスフェノールAの毒性はrオーダーだが、シグナルかく乱はμgオーダーで起こる。
- エコナの主成分、1.3-ジアシルグリセロールは一度、脂肪酸との結合を切ってから、導入しているため、不安定で40%は1.2-DAGに変わってしまう。又、生成したDAGに悪臭があったため、高温で脱臭をかけたことが原因で、3-MCPDの生成→グリシドールの生成につながった。
- グリシドールの発がん性は局部的でなく全身に及ぶため、エコナの発がん性を流せなかった
- そもそも食品の主成分による発がん性の検出は難しいので、遺伝子組み換え動物を発がん性の実験に使った。
- 花王に個人的に訴えられる可能性を感じている
- ナノ物質は第2のアスベストになる。国際学会に出ても、皆一致している。今まで3社の大手会社が個人的に意見を聞きにきたので、話したら、開発は中止された。中小の会社が問題
- サントリーの黒ウーロン茶などは下剤として使用している可能性がある。これを特保にしていいのか
- 日本は毒性研究者が少ない。菅野さんの研究所の毒性部は20人、アメリカ、ドイツは数百人
- 「飲むヒアルロン酸」という商品は、効果がないため特保として認可されなかったにもかかわらず、効果があるような宣伝で今も売られている。(植田氏)
(2012/07/06 掲載)