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ひじきの砒素について

名古屋生活クラブの考え

ひじきの砒素について

ひじきの砒素汚染の報道を受けて、少し調べてみました。

砒素は火山活動、鉱物採掘などにより,土壌、地下水が汚染されています。

汚染と書きましたが、砒素は地域的な高低はあるものの、どこにでもある元素で、火山活動、鉱物採掘などの盛んな地域で、とくに濃度が高く(100倍〜)(インド、中国、バングラデシュ、台湾など)健康被害が問題になっています。海の生き物に濃縮されている事が多く、その中でもひじきなどに顕著です。

それ以外の汚染源としては農薬として木材の防腐剤として大量に使われてきました。

みかんの酸味を減らす農薬として(今は失効)累積生産量3万2700トン、木材の防腐剤としても最近は使用量が減ってきていますが、アメリカ国内では80%もの材木が処理されており、日本でも過去の大量使用していた材木の焼却などで、環境に大量放出される心配があります。

ひ砒素の毒性としては発ガン性などがかなり疑われています。

(職業病としてのひ砒素の発ガン性ははっきりしています)

ひじきに関しては水戻しでかなりのひ砒素が水に溶け出しますので、よく水にさらし、食べ過ぎないよう注意しましょう。


参考(表 各種食品中の総ヒ素及び無機ヒ素含有量の例(抜粋))

  食品 総ヒ素(μg/g) 無機ヒ素(μg/g)
穀類 米3) 0.01〜0.76 0.01〜0.51
  とうもろこし <0.004 <0.003
  小麦粉 0.04 0.01
肉類 牛肉 0.05 <0.003
  鶏肉 0.09 <0.003
  豚肉 0.01 <0.003
野菜 レタス <0.004 <0.003
  たまねぎ 0.01 0.003
  トマト 0.01 <0.003
  にんじん 0.007 0.004
  ジャガイモ <0.004 <0.003
果物 リンゴ 0.005 <0.003
  バナナ <0.004 <0.003
  オレンジジュース 0.005 <0.003
  ぶどう 0.01 0.004
魚介類 ツナ缶 0.16〜0.77 <0.003
  えび 0.47〜2.82 <0.003
海藻 こんぶ 19〜75 <0.3
  のり 18〜32 <0.3
  わかめ 29〜42 <0.3
  ひじき 95〜134 72〜96
0.02 <0.003
その他 砂糖 0.01〜0.02 0.004
  0.005 <0.003

注:海藻は、乾燥したもの
参考:Japan Food Research Laboratories Newa No.82 Dec. 2008

JECFAの無機ヒ素の暫定的耐容週間摂取量は、15μg/1kg(体重)/週。体重60kgの人なら、週に900μg(ひじきなら10g。ただし、水に戻す時に、かなり減る)。

発がん性のリスクは、もう少し低濃度でも有りそう。

ついでに森永ひ砒素ミルク事件について

粉ミルクを水に溶けやすくするため添加していた、リン酸ナトリウムに亜ヒ酸が大量に混入していた事件です。

このリン酸ナトリウムは、日本軽金属がボーキサイトからアルミニウムを取り出した後の産廃を脱色だけしか行わず、粉ミルクに使ったために亜ヒ酸が混入していたものです。

(伊澤)

(2012/07/19 掲載)