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食品とタバコからの低レベル慢性カドミウム曝露による健康被害

論文で紹介します

Adverse health effects of chronic exposure to low-level cadmium in foodstuffs and cigarette smoke
食品とタバコからの低レベル慢性カドミウム曝露による健康被害
Soisungwan Satarug 国立環境毒物研究センター オーストラリア
Environ mental Health Perspectives V,112 N.10 July 2004

カドミウムは一日に(わずか)0.001%しか体内から排出されない。

カドミウムの蓄積は多くの臓器で起こるが、特に腎臓で著しい。腎臓のカドミウム濃度は年齢とともに増加し50才代で最高に達する。オーストラリア人、41才〜50才の場合、肝臓で1.4μg/g、腎皮質で26μg/g。

日本人の場合、肝臓で2μg/g、腎皮質で70μg/gになる。カドミウムは腎臓に残り続け(半減期30年)る。

腎障害の他に、低濃度の慢性カドミウム曝露は糖尿病の合併症、骨粗鬆症、ガンなどに繋がる。

1日に1μg/体重のカドミウムの摂取(体重50kgの人なら50μg/日の摂取)が50年間続くと、腎皮質中のカドミウム濃度は50μg/gになり(腎障害の可能性がでてくる)この値(1μg/体重)というのはWHOが1993年に出した食品中のカドミウムの安全摂取量と同じ量です。(安全値だけど50年間続くと病気になる?日本人の平均値70μg/gはすでに50μg/gを超えている 訳注)

1989年 FAO、WHOのJECFAはカドミウムに暫定許容量(PTWI)を7μg/kg/週(1μg/kg/日)に設定した。しかしながら、カドミウムに関連している腎臓への毒性は、この暫定許容量以下の人々にも予想されるより多く現れている。

現在の暫定許容量では、多くの人々を守る事ができないことを示唆している

解説

日本人はイタイイタイ病(富山県神通川流域)の様な高度にカドミウムに汚染されている地域以外でもカドミウムに汚染されています。

汚染源は米をはじめとして、麦、大豆などの作物、貝、イカ、エビなどの水産品(とくにイカの内臓)は汚染度が高いです。

0.01〜0.1ppm
小麦 0.01〜0.2ppm
大豆 0.01〜0.40ppm
するめいか 0.01〜1ppm
さざえ内臓 1〜9.5ppm
するめいか肝 0.01〜100ppm

となっています。お米に関しては日本国内で対策が取られて1ppm以上焼却  0.4〜1ppmはのりに加工されていますが、食用にまわってしまった例も報告されています。どの地域のお米がカドミウムを多く含んでいるかは報告されていない(隠されている)ので分りません。

この様な汚染の中で日本政府の働きかけで、お米の許容量が0.2ppmから0.4ppmへ上げられたりして、国民の健康と逆な事を日本政府はしています。

今回の論文では世界的な暫定基準さえ高すぎる値であって、暫定基準以下の人々に腎障害 が出ていることを報告しています。

日本はカドミウムの世界最大の消費国です。1995年の世界消費量19328トンの内、日本で8364トン消費されています。(ニッケル、カドミウム電池など)さらにゴミ焼却場、石炭火力発電所からも排出されており、今後カドミウム汚染は徐々に増加していくものと考えられています。

(2012/07/23 掲載)