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環境エストロゲン(女性ホルモン)、化粧品と乳ガン

論文で紹介します

Environmental estrogens, cosmetics and breast cancer
環境エストロゲン(女性ホルモン)、化粧品と乳ガン
P.D.Darbre リーディング大学 イギリス
Best practice and Research Clinical Endocrinology and Metabolism Vol. 20 No.1 121-143 2006

乳ガンの発生と進行におけるエストロゲン(女性ホルモン)の確立した役割は、ヒト乳房に入っていく化学物質で、エストロゲン活性を持っている環境中の多くの化学物質の(乳ガンへの)関与を疑わせるものだ。

ある種の有機塩素系農薬やDCBは、エストロゲン活性(環境ホルモン)を持っており、実際に、ヒト乳房脂肪組織や母乳中に存在している。

これらの物質は、乳房脂肪中に蓄積している。それ以外にも、エストロゲン活性を持っている化粧品がわきの下や乳房の部分に塗られている。これらの化粧品は皮膚の上に塗られたままなので、より直接的に皮膚から吸収されて、全身にまわっていく。

乳ガンと化粧品との関連を強く疑わせる事実に、乳ガンの発生が乳房の上4分の1の部分に、ふつりあいに多く発生している事実があります。上の方4分の1の部分の以前の発生率(乳ガン)が31%だったのに対し、1997年には60.7%まで増加し、年々、比例的に上昇している事実があります。

さらに、その部分の遺伝子に、遺伝的不安定性が増加しているのです。具体的な化粧品中の成分として、エストロゲン活性を持っている物質としてパラベン(保存料)、アルミニウム塩(制汗効果)、シクロ、シロキサン、トリクロサン、サンスクリーン、フタル酸類、アロエベラ、などがあります

解説

乳ガンが増加しています。イギリスでの統計だと、1979年に10万人当たり74.4人の割合が、2000年には10万人当たり113.8人に増加しています。

疫学的な研究によると、乳ガンの90%は環境要因(遺伝ではない)によると考えられています。

さらに、乳ガンの発生と進行に女性ホルモンのエストロゲンが深くかかわっていることが疑いようのない事実と考えられているため、環境ホルモン中のエストロゲン活性を持っている物質を、この論文では疑っているのです。

化粧品の物質のエストロゲン活性は、天然のエストロゲンよりは弱いものの、毎日、直接肌につけるので、量的には(発ガン)に充分なのかもしれません。この論文は、あくまで、いろいろな奇妙な一致をとりあげたもので、直接的な論証をしているものではありませんが、奇妙な一致は不思議なくらい、一致しているのです。

こんな論文もあることを、頭の片隅の中にでも入れといて下さい。

(2012/08/06 掲載)