ハイドロキノンは、植物中にも天然に存在するが、商業的にも年間5万トン生産されている。(IARC1999)写真の現像、油脂の酸化防止、重合防止剤、さらには、化粧品の美白剤としても使われている。ハイドロキノンは、糖が付いている状態、アルブチンとして、植物中に存在している。
ハイドロキノンは、数多くの試験で遺伝毒性を示す。さらに、白血病の誘導に関係している。酸素、トポイソメラーゼの阻害や、微小管に関与しているタンパクを阻害する。
疫学データーは、ハイドロキノンの発ガン性に関しては不十分である。しかし、2つの長期動物実験の結果は、ハイドロキノンの発ガン性を示唆している。
「ナシ」のような果物にあるアルブチンは、結合した状態で存在しているので、(分解を受けにくく)消化管の深部まで到達し、そこで、腸内細菌によって分解を受け、ハイドロキノンを生じる可能性がある。
食品中のハイドロキノン量は、0.5mg/kg以下のレベルである。アルブチンは、「ナシ」の様に、高度に含んでいるものでは、アルブチンとして、71mg/kg、ハイドロキノンとして、27mg/kg含まれている。
消化管中で腸内細菌によってアルブチンが分解され、生じたハイドロキノンは、消化管の上皮細胞の突然変異を起こすかもしれない。
美白化粧品に含まれている、アルブチンは、ヒト、消化管中で腸内細菌により、分解され、ハイドロキノンを生じる。
ハイドロキノンは、強い突然変異性(遺伝子DNAを突然変異させる)を持ち、発ガン性も疑われている。
アルブチンは天然の植物(ナシなど)にも含まれるが、その毒性は分かっていない。
突然変異原性は、細菌を材料に用いて試験される事が多く、その結果を元に、発ガン性試験の必要の有無を判断していく事が多いのですが、今回の様に腸内細菌の分解によって初めて、突然変異原性が生じるアルブチンの様な物質の場合、見すごされることになります。
(2012/08/06 掲載)