食品安全情報:名古屋生活クラブ

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油とガン

論文で紹介します

Oils and cancr
油とガン
Tolbert PE エモリー大学  アメリカ
Cancer Causes Control, 1997 May;8(3):386-405

ミネラルオイル(流動パラフィン)とガンとの疫学的証拠をまとめました。疫学文献がある経皮と吸入の両経路の職業上の曝露にしぼってまとめた。その対象は機械、印刷、綿と麻の紡績業である。ミネラルオイルは脂肪族炭化水素、ナフタレン類、芳香族などの複合物であり、原料と精製法によって違いがあります。(石油が原料)

最終製品には、種々の添加物や不純物が含まれています。その様な物質として、多環芳香族炭化水素(とくにベンツピレン)(訳注、発ガン性あり)ニトロサミン(訳注、発ガン性)塩素化パラフィン、長鎖脂肪族、硫黄、N-フェニル-2-ナフチルアミン(訳注、発ガン性の疑い)ホルムアルデヒド(訳注、発がん性)があります。綿と麻の紡績と機械産業で使われていた初期のミネラルオイルには、皮膚ガンを起こしたはっきりした証拠がある。

現在のミネラルオイルの製品中の多環芳香族炭化水素とニトロサミン量は過去の物に比べて少ない。が発ガン性に関しては良く分からない。

解説

ミネラルオイル(流動パラフィン)は鉱物油の一種であり、化粧品や塗料の溶剤、機械油など広範囲に使われています。石油を蒸留して作るため、石油に含まれているベンツピレン、ベンゼン、ナフタレン類などの発ガン物質の混入が問題です。

今回の論文では、職業上で使われていたミネラルオイルに発ガン性があったこと(皮膚ガン、直腸ガン、食道ガン、胃ガン、前立腺ガン、膀胱ガン)現在使われているミネラルオイルには以前に比べて発ガン物質の混入が少ないけれど、発ガン性があるか、ないか分からない、という論文です。ミネラルオイル(流動パラフィン)は化粧品に多く含まれています。気になる方は成分表示を見て、避けた方が無難です。それにしても、石油を顔に付けていたとは驚きです。

(伊澤)

(2012/08/06 掲載)