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ベンズアルデヒドの安全性の最終報告

論文で紹介します

Final report on the safety assessment of benzaldehyde
ベンズアルデヒドの安全性の最終報告
アメリカ
Int J Toxicol. 2006;25 Suppl 1:11-27

ベンズアルデヒドは芳香性のアルデヒドで、変性剤、香料、香水として化粧品中に使用される。

最近では7つの化粧品にのみ使用されている。

最も高い使用濃度は香水中の0.5%であった。

ベンズアルデヒドはアメリカで一般にGRAS物質であり、EUでは香水の材料として受け入れられている。ベンズアルデヒドは肌ですぐに代謝して安息香酸になるため、利用できる皮膚刺激と感作データ(安息香酸に対する害のない反応を証明している)はベンズアルデヒドの安全性を支えると考えられた。ベンズアルデヒドは肌を通して吸収され、肺を経由して全ての灌流器官に分かれていくが、どんな組織にも蓄積しない。安息香酸になった後、グリシンとグルクロン酸と抱合し、尿中に排泄される。急性毒性はほとんど見られていない。ラットとマウスにおけるベンズアルデヒドの経口LD50(50%致死率)は800〜2850mg/kgの範囲だった。ホワイトラットにおける腹腔内LD50は3265mg/kgだった。短期間の経口投与実験では、ラットとマウスにおいて、無作用量は400mg/kgであった。

亜慢性経口投与実験では、無作用量がラットで400mg/kg、マウスで600mg/kgであった。

16週間の経口投与実験では、10000ppmまでラットに投与したが毒性の徴候は示さなかった。揮発したベンズアルデヒドを何度も吸入することは、ウサギにおいて500ppmで目と鼻の炎症を起こし、750ppmでは死に至らせる。薄めていないベンズアルデヒドはウサギの目を刺激し、浮腫、紅斑、痛みを引き起こしていた。ベンズアルデヒドは接触感作物質ではないと決定されたが、極限まで投与した実験ではアレルギー反応を示した。ベンズアルデヒドへのアレルギーの臨床報告はまれである。安息香酸は人の臨床実験において炎症反応や感作反応を起こさなかった。安息香酸は光毒性、光感作反応を起こさなかった。ベンズアルデヒド、安息香酸、安息香酸ナトリウムはどれも母親で毒性のなかった濃度において生殖・発育上の毒性物質ではない。

動態的実験において、血液中のベンズアルデヒド濃度0.12ng/mlはマウスの運動活性を44%減少させる。ベンズアルデヒドは細菌試験において突然変異を引き起こさなかったがチャイニーズハムスター細胞において染色体異常を引き起こし、前進突然変異試験のマウスリンパ腫において突然変異を増やした。ベンズアルデヒドは国家毒性計画によって評価された。

ラットにおいtれは発がん性の証拠はなく、マウスにおいては発ガン性の証拠がいくつかあると。

いくつかの研究ではベンズアルデヒドが抗ガン性、抗腫瘍性の特徴を持つと示している。総合的に化粧品に使われる濃度において、ベンズアルデヒドは人への発ガン性リスクは考えられていなかった。

ベンズアルデヒドに利用できる炎症、感作データは限られているが、利用できる皮膚炎と感作データ、UV吸収と光毒性データ(安息香酸への害する反応のないと証明する)は化粧品中に最近使われるベンズアルデヒドの安全性を助ける。

(2012/08/20 掲載)