食品安全情報:名古屋生活クラブ

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通常の人乳腺上皮細胞へフタル酸ジブチルがもたらす遺伝子発現

論文で紹介します

Gene expression profiling of di-n-butyl phthalate in normal human mammary epithelial cells.
通常の人乳腺上皮細胞におけるフタル酸ジブチルがもたらす遺伝子発現
アメリカ
J Environ Pathol Toxicol Oncol. 2007;26(1):51-61

これまでの研究でパーソナルケア製品の工場で働く女性労働者が、ガンの発達のリスクが増えていたことを示しており、そのガンは化粧品、ヘアカラー、ネイルポリッシュに含まれる毒性の、または発ガン性の化学物質への曝露の増加によると考えられている。

多くのパーソナルケア製品に含まれる化学物質、フタル酸ジブチルは内分泌撹乱物質として知られており、子供の産める年齢の女性に高い濃度で見つかっている。本研究の目的は、人の細胞におけるフタル酸の毒性のメカニズムを明らかにし、個人間の変動と遺伝子―環境の相互作用に関する情報を供給することである。

通常の人乳腺上皮細胞株は乳房形成の低下による代謝後の組織から明らかにされた。細胞株における遺伝子転写は高比重オリゴヌクレオチドDNA配列とPCR法により確認された遺伝子発現の変化を利用して分析した。

DNA配列はフタル酸ジブチルに5時間、10時間処理後採取した総RNAと混合させた。RNAは10時間賦形剤コントロール(アセトン)から得られた。データ採掘ツールソフトウェアが遺伝子発現時間を基にした群で遺伝子を分別するために使用された。たったの57個の遺伝子がDBPに曝露して全4つの細胞株に変化したことが分かった。これらの遺伝子は生殖力(インヒビン、胎盤成長要因)、免疫反応(たんぱく質を減らすガン壊死要因)、抗酸化物質の状況(グルタチオン過酸化酵素)に影響した。本研究ではDBPの生殖毒性への役割を明らかにし、今後の疫学のための生物指標をもたらすだろう。

(2012/08/20 掲載)