酸化チタンナノ粒子は空気清浄や浄水に光触媒として幅広く使用されている。しかしながら、これらナノ粒子の吸収は肺に毒性を及ぼしかねず、そのメカニズムは十分に理解されていない。本研究では、酸化チタンナノ粒子の肺への毒性と分子病因を調査した。
成オスICRマウスの気管内に0.1,0.5mgナノ酸化チタンを投与し、3日目、1週間目、2週間目に肺組織を採取後、形態、遺伝子発現配列、経路を分析した。ナノ酸化チタンは肺気腫、肺胞マクロファージの蓄積、肺小葉間中隔の幅広い断裂、U型肺胞上皮細胞過形成、上皮細胞アポトーシスを引き起こしうる。
酸化チタンは数百もの異なる遺伝子発現を引き起こした(細胞のサイクル、アポトーシス、ケモカイン、カスケード補助を含む経路の活性化を含めて)。
特に、ナノ酸化チタンは胎盤成長要因と他のケモカイン(肺気腫や肺胞上皮細胞アポトーシスの原因かもしれない)の発現の上限を調節している。マクロファージ由来の培養したヒトのTHP−1細胞を試験管内でナノ酸化チタンで処理したところ、PIGF、CXCL1、CXCL5,CCL3の上限調整が見つかった。これらの結果はナノ酸化チタンが重症な肺気腫を引き起こすことを示していた。そしてそれはPIGFの活性化により引き起こされ、炎症性の経路と関係しているかもしれない。
(2012/08/21 掲載)