食品安全情報:名古屋生活クラブ

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化粧品中のポリアクリルアミドとアクリルアミドの安全性

Amended final report on the safety assessment of polyacrylamide and acrylamide residue in cosmetics
化粧品中のポリアクリルアミドとアクリルアミド(未反応残留物)の安全性に関する訂正最終報告
The Cosmetic Ingredient Review Expert Panel (化粧品成分に関する専門委員会(化粧品業界が設立))
Int J Toxicol 2005 24 Suppl 2:21-50

ポリアクリルアミドはアクリルアミド(モノマー)を重合させることで作られる。

未反応のアクリルアミド(モノマー)がポリアクリルアミドの中に残っており、濃度としては、1ppm以下から、600ppmまでの範囲で残っている。

ポリアクリルアミドは、110種類の化粧品製造に、0.05%〜2.8%の範囲で使われている。アクリルアミド(モノマー)の残っているレベルは、0.1%以下から0.1%の範囲内で、実際には、0.02%から0.03%の範囲で残留している。

アクリルアミドモノマーは、皮膚を浸透する。2世代にわたる生殖毒性試験では、高用量(5mg/kg/日?)で、生まれる前の胎児の死亡があり、親に対する毒性の結果である。無作用量(毒性が観察されない量)は、0.5mg/kg/日である。アメリカ国家毒性計画(NTP)の生殖、神経毒性試験では、オスの生殖阻害と弱い神経毒性がみられた。神経毒性は、中枢及び末梢神経、両方でみられ、微小管阻害によるものらしい。

アクリルアミドは、哺乳類に遺伝毒性を持ち、発ガンイニシエーター活性を持っている。マウスの2種の系統で、総量300gの投与で肺の良性腫瘍とガンが増加した。(2週間6回分の投与で)

ラットを使った2種類の慢性毒性試験の内、1つ試験では、乳房の腺ガン、クリア細胞ガン、甲状腺ろ肪ガン、口くうガン、子宮ガン、クリトリス腺ガンなどがメスにみつかった。

オスのラットでは、中枢神経のガン、甲状腺ガン、陰のうガンなどが増加した。

ヒトに対する生涯発ガンリスクの計算では、3ケタにも及ぶ範囲内で2×10-3から、1.9×10-6になった。(500人に1人から50万人に1人の発ガンリスク)

ヨーロッパ協同体(EU)では、つけたまま(leave-on?)の化粧品に対しては0.1ppm、それ以外の化粧品には0.5ppm規制がある。

当委員会は、化粧品に対して5ppmの基準が適当であるという結論に達した。

解説

アクリルアミド、2〜3年前からフライドポテト、ポテトチップスなど高温で調理した食品から多く検出されるということで問題になりました。

私も大学、大学院の時、毎日、研究で使っていたなじみの物質で、担当教官から、発ガン性などの危険性があるかも知れないといわれていた物質です。

そのアクリルアミドが残留しているポリアクリルアミド(プラスチックの様な重合した巨大分子)がこともあろうにシャンプー、ヘアスプレーなどに大量に使われているのです。シャンプーに入れる目的は、「まとまりが良く滑らかな髪」を実現できるのだそうです。

あたり前です。髪の毛をプラスチックでコーティングしている様な訳ですから、まとまりが良く滑らかになるに決まっています。

その代償として、発ガン物質に付随しているとはほとんどの消費者は知らないでしょう。シャンプーメーカーは、きちんと表示すべきです。

「まとまりが良い滑らかな髪…副作用、発ガンがあるかもしれません」