食品安全情報:名古屋生活クラブ

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酸化チタン

論文で紹介します

TITANIUM DIOXIDE
酸化チタン
国際ガン研究機関(International Agency for Research on Cancer)

曝露データ

酸化チタンは1923年に商業化生産が始まった。約70%は色素(粒子)向けである。2004年、世界中の生産量は440万トンです。

生産される粒子は主に0.2〜0.3μm(200〜300nm)です。超微粒子等級は10〜15nmの大きさでほとんどサンスクリーンやプラスチックなどの紫外線防止剤として使われている。

ほとんどの酸化チタンは無機物質(アルミナ、ジルコニア、シリカ)や有機物質(ポリオール、エステル、シロキサン、シラン)などの物質でコーティングされて、表面能力を上昇させてある。

酸化チタンが他の物質に結合させてあるー例えばペイントーなどの使用では酸化チタン曝露はほとんど起こらないと考えられています。

ヒト発がん性

ヨーロッパ6ヶ国の酸化チタン製造労働者(男性)の研究では、一般に比べわずかに肺がんのリスクが上昇していました。

結論として、酸化チタンへの労働曝露を示す最近の研究はありません。

動物の発がん性

吸入実験では、メスラットに良性及び悪性の肺腫瘍が生じた。別の吸入実験でも肺腫瘍(良性)が高投与量の場合、オスとメスのラットで増加した。ラットの2つの吸入実験とメスマウスの吸入実験の結果はネガティブ(発がん増加なし)だった。気管内点滴注入の場合、メスラットは2種類(ナノ化粒子と一般の)の酸化チタン投与いづれも良性と悪性の肺腫瘍を増加した。ハムスター、メスマウスでは増加しなかった(気管内点滴注入)。

経口、経皮、腹腔内、投与のいづれも、マウス、ラットいづれもがんを増加させなかった。

メカニズムの考察

動物で得られている様な酸化チタンの排出のデータはない。

酸化チタンを経口摂取した、わずかに1例の研究では粒子のサイズによる吸収率の違いと、人によって変動が大きいということです。

ボランティアを使ってのナノ化酸化チタンを含むサンスクリーンを健康な人に塗ってもらう実験では、最外層の角質層に浸透しただけでした。ナノ化粒子は最も遅く排出される。

げっ歯類(ラット、マウスなど)の場合、ナノ化粒子は最も強く肺に影響する。ナノ化粒子は肺胞のマクロファージ(白血球の一種)の食作用を阻害する(試験管内の実験)。

試験管内での酸化チタンとDNAの実験ではDNA傷害が誘導され、活性酸素種の生成が示唆されています。

この影響はナノ粒子の方が大きく、日光、紫外線で増大する。

腹腔内点滴注入したマウスの場合、骨髄と末梢血リンパ球で小核の形成が増加した(訳注・突然変異の増加)。

評価

1.酸化チタンのヒト発がん性のデータは不十分である。

2.酸化チタンの動物発がん性のデータは十分である。

結論

酸化チタンはおそらくヒト発がん物質である。

グループ2B

IARC.February 2006.