試験管内での単離された豚の皮膚に24時間、酸化チタンナノ粒子を曝露させた実験では、酸化チタンナノ粒子は、皮膚を浸透しなかったが、驚くべきことに、生きた動物を使った実験では、全く違った結果になった。
豚の耳に30日間、塗布したところ、酸化チタンナノ粒子(4ナノから60ナノ)は、角質層を越えて、表皮の深い層に移行した。さらに無毛マウスの皮膚に60日間曝露させた実験では、酸化チタンナノ粒子は、皮膚を越え、様々な組織に達し、いくつかの器官に傷害をもたらした。
とくに21ナノ酸化チタンナノ粒子は、幅広くいろんな組織に移行し、傷害はもたらさないものの、脳にまで移行した。すべての調査した器官の中で、皮膚と肝臓が最も大きく傷害を受け、それらはSOD(スーパーオキシドジスムターゼ・・・活性酸素分解酵素)MDA(マロンジアルデヒド・・・酸化物)の変化に対応していた。これらの結果は、ナノ粒子によって酸化的ストレスが生じていることを示唆していた。さらに酸化チタンナノ粒子は、皮膚の老化をもたらしていることも示していた。これらのことから、酸化チタンナノ粒子の比較的長い皮膚への曝露が、ヒトの健康に危険をもたらしている可能性を示している。