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食品用のシリコン容器からの化学物質の溶出

論文で紹介します

Chemical migration from silicones used in connection with food contact materials and articles.
食品用のシリコン容器からの化学物質の溶出
Food Standard Agency. (イギリス食品企画庁)
Monday 4 April 2005 A03040.

シリコン製品は、比較的低分子量の潤滑油から、高分子量のシリコンゴム、更には、高度に架橋した固いシリコン樹脂までと幅広く存在する。現在の所、食品用シリコン容器に対するEU共通の法律は存在しない。

食品用シリコン容器(製品)は次の3つに分類できる。

@シリコンゴム
パン用トレーコーティング、哺乳用乳くび、チューブ、ストッパー、シール部、バルブ、牛乳パックの内側
Aシリコン溶液
食品加工に使われる
Bシリコン樹脂
テフロンの代わりに用いられている。ひっつかない用途に使われる。パン用鍋、オーブンの内側など

溶出物

シリコン製品の分析から予想される通り、溶出する物質は、シリコンオリゴマーのみです。

 

シリコンゴムが脂溶性の条件下で高度の溶出がみられる。

しかし、溶出物の多くは胃腸管から吸収される上限である、分子量1000を超えている。シリコンゴムの方が樹脂より、とくに脂溶性条件でより多く溶出する。

オレンジジュースの様な、水に溶ける様な物の時は、あまり溶出しないが、唯一市販されている樹脂コートパン焼き器の場合、オリゴマーの溶出が低いながらも起こる。

シリコン溶液の場合は、ゴムや樹脂よりも溶出量が高い。

解説

テフロン(フッ素化合物)の危険性が明らかになってメーカーが製造中止を決定後、それに代わるものとして、シリコン(ケイ素化合物)製品が増えてきています。今回のイギリス食品企画庁の報告書では詳しいことはわかりませんが、脂溶性の食品へのシリコン容器からの溶出が起こることが報告されています。オリゴマーというのは、1つの単位(モノマーという)が数個つながっていることを意味しています。そのオリゴマーが溶出しているという報告ですが、安全性についても、溶出量についてもわかりません。