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りんごの植物化学物質とその効用

論文で紹介します

Apple phytochemicals and their health benefits
りんごの植物化学物質とその効用
Jeanelle Boyer コーネル大学 アメリカ
Nutrition Journal 2004 3:5

健康的な食事でガンになるリスクを30%下げることができると試算されています。

「1日に1個のりんごで医者いらず」ということわざを科学的に裏付ける多くの研究がなされています。

1990年代の始めに、156の研究の内128の研究が果物と野菜のガンに対する防御効果を示していました。その効果は、果物と野菜に含まれている植物化学物質(フィトケミカル)によっていると考えられています。フィトケミカルとは、カロテロイド、フラボノイド、イソフラボノイド、フェノール酸、などの物質です。何千というフィトケミカルが食品に含まれ、まだ未知のものもあります。

フィトケミカルはガン細胞の増殖を抑え、炎症と免疫を調整し、脂肪などの酸化を防ぎます。ヒトと多くの動物は、酸化に対する防御システムを持っていますが、充分ではなく、酸化による障害が起きます。心血管病とガンは、いずれも酸化的ストレスによって生じていると考えられています。実際、ヒトで1日当たり1個の細胞中のDNA(遺伝子)は、1万ヶ所の酸化が見られるという、試算があります。

 

りんごなどが示す健康効果には以下の病気に効果がある事が示されている。

  • (1)ガン
  • (2)心血管病
  • (3)ぜん息
  • (4)糖尿病

 

動物実験 試験管内で示されていること

  • (1)抗酸化
  • (2)ガン細胞に対する増殖抑制
  • (3)脂肪の酸化の抑止
  • (4)コレステロール低下

 

フィトケミカルはりんごの皮に多く含まれている。りんごの皮は、身に比べて、

  • ・2倍から6倍(フェノール化合物)
  • ・2倍から3倍(フラボノイド)
  • ・2倍から6倍(抗酸化力でみて)

 

りんご中のフィトケミカルの量は、

  • (1)品種によって変わる(ふじが一番多い)
  • (2)保存などでは変わらない
  • (3)ジュースにすると(抗酸化力で)、ストレート圧搾で10%、酵素処理で3%に低下する

図

解説

植物化学物質(フィトケミカル)は植物が自分自身を酸化から外敵から身を守るために合成している物質です。フラボノイド、ポリフェノール、アントシアニン、などは、病原から植物を守るために働いています。

ヒトと動物は進化の最初の段階から植物を栄養源として摂取してきており、当然のように植物を消化し、フィトケミカルを利用するか、あるいはその害を減らす様に発達させてきたものと思われる。

日光や紫外線の害から植物を守るための色の付いたフィトケミカル(カロテノイド、アントシアニン)は、同じ働きとして抗酸化作用を強く持っているはずです。

りんごの「赤」い色は、基本的には日光などから実を守るために存在しているのです。今日、ここで言いたい事は、りんごの皮など全体を食べることが重要だという事と、もう1つ、「科学的な事実」をどうとらえるか、ということです。

科学が解明したビタミン類が今、「サプリメント」になっています。

初期はバラ色で「サプリメント信仰」の様になっていますが、疫学研究には「効果なし」あるいは「悪い影響」を示す研究が増えています。「フィトケミカル」も同様の道をたどる恐れがあります。

「トマトのちから…(リコペン)」などもその道をたどっていると思います。はっきり言います。サプリメントの様に抽出する必要はありません。りんご、トマトなどを1個ずつ丸ごと食べればいいのです。その方が安全ですし、効果もあるはずです。