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輸入の冷凍エビに含まれる抗生物質について
◆ 論文で紹介します◆
すぐ食べられるエビは、抗生物質耐性菌の国際的な運び屋
ミシシッピー州立大学 マーシャル

動物起源の食品に由来する抗生物質耐性菌は、健康に潜在的な脅威である。耐性は菌の間を伝わってゆき、抗生物質耐性の病原菌は抗生物質が効かないからである。
4ヶ国からの、13ブランドの「すぐ食べられるエビ」をお店で購入した。
菌数は、品質範囲内でした。162種類の細菌、1564個が分離され、10種の抗生物質耐性(アンピシリン、セフトリアキソン(セファロスポリン系)、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ナリジクス酸、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、トリメトプリム、バンコマイシン)を調べた。

657個(1564個中、42%)、131種(162種の細菌の内、81%)が抗生物質耐性でした。

多くの、耐性(多剤耐性)を持つ、ヒトへの病原菌も分離された。

(大腸菌、エンテロコッカス(腸球菌)・・・病院内感染の主役、サルモネラ菌(食中毒でおなじみ)、フレクスナー赤痢菌(流行性赤痢の一般的な原因菌)、ブドウ球菌(食中毒)、ビブリオ菌(食中毒、コレラ菌はこの仲間))

非耐性のエルシニア菌もみつかった。

「すぐ食べられるエビ」は、融かして使う様、指示されているが、これは、耐性菌の汚染を広げることになる。この製品(エビ)の広い流通は、抗生物質耐性病原菌の国際的なばらまきをしていることになる。

日本は世界でも1、2を争うエビの消費国であり、その9割近くが海外からの輸入品だといいます。理由はその安さ。輸入相手国は現在ではインドネシアなど東南アジアが主流で、もちろん冷凍品として日本へ入ってきます。

冷凍食品というと、新鮮で菌が少ないというイメージがあるかもしれません。しかし現在、こうした輸入食品の汚染が問題になりつつあるのです。輸出国の養殖場の衛生状況によっては、既存の殺菌方法では不十分な可能性があるし、海外の養殖場の抗生物質の使用状況も気になります。

最近、家畜業において、抗生物質の乱用がもとで、抗生物質の効かない耐性菌が出現しはじめたことが問題視されています。上の研究はアメリカで行われたものですが、輸入冷凍エビを問題にしているという点では、日本と状況が似ているといえるでしょう。日本では、家畜用の抗生物質の使用規制が強化されつつありますが、そういう規制のない国からの輸入食品については、まだまた対応が充分でない恐れがあるのです。

さらに、この論文では冷凍食品の流通の広さとそれによる汚染の拡大の危険に注目していて、興味深いといえると思います。

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