HOME食品安全情報
ロテノン(農薬)とパーキンソン病について
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

Chronic exposure to rotenone models sporadic parkinson’s sisease in Drosophila melanogaster
ショウジョウバエのロテノン(農薬デリス)慢性曝露の弧発性パーキンソン病モデル
The Journal of Neuroscience December. 1. 2004

Helene Coulom Mediterranee大学 マルセイユ フランス

 パーキンソン病の家族型(遺伝型)は、まれである。
 年をとってから始まる、特発性(原因不明)のパーキンソン病の95%以上は、弧発性で、その原因は未だに不明である。
 死後の研究は(死んだ後の解剖で?)ミトコンドリアの傷害を示している。疫学研究は、環境中の毒物、特にミトコンドリア複合体Tへの阻害剤(たとえばロテノンのような)の関与を示唆している。
 ロテノンは、ある種の熱帯植物(デリスのような)の根からの天然の農薬として使われている。脂溶性を持つ化合物なので、細胞膜を自由に透過し、細胞質やミトコンドリアに達する。
 試験管内で、ロテノンは、細胞のアポトーシス(死)を生じさせ、α-シヌクレインとコビキチンの蓄積と凝集、(パーキンソン病の特徴)を起こす。
 ラットへの慢性曝露では、ドーパミン神経細胞の変性を生じ、(パーキンソン病の特徴)Lewy小体によく似た細胞質の封入体を出現させる。

 一方、ロテノン曝露のショウジョウバエは、ドーパミン神経細胞を選択的に喪失させ、ひどい運動能力の傷害をもたらす。
◆ この論文の解説 ◆

パーキンソン病は、人口10万人当たり100人以上と頻度が高い神経変性の病気で、患者数は増加している。
ドーパミン神経細胞の変性などが特徴で、ミトコンドリアに原因があると考えられている。
パーキンソン病の中で遺伝が原因している患者は少なく、環境毒物が原因と考えられている。
ロテノン(デリス)は天然の農薬で有機JAS許容農薬です。ロテノンはミトコンドリアに毒性を持ち、パーキンソン病と酷似する症状をショウジョウバエに起こします。ロテノン以外の農薬でも、ミトコンドリアに毒性を持つ物は多く、同様に疑われています。(伊沢)

HOME食品安全情報
名古屋生活クラブ 2009 Copyright NAGOYA SEIKATSUCLUB,INC. All Rights Reserved