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化学物質過敏の遺伝子研究
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆
Case-control study of genotypes in multiple chemical sensitivity:CYP2D6, NAT1, NAT2, PON1, PON2, and MTHFR
化学物質過敏症患者の遺伝子の研究
Gail Mckeown-Eyssen トロント大学 カナダ

化学物質過敏症(MCS)は、解毒能力の障害が提案されている。この研究では、MCSの患者と対照者の間に化学物質を解毒する酵素の差を見つけようとした。
  203人のMCSの患者と対照者162人(いずれも女性)の遺伝子を調べた。



結果

CYP2D6とNAT2の遺伝子に違いが見つかった。

CYP2Dの活性型をホモに持つ患者は、 3.36倍(不活性型の人に比べて)

NAT2の高速型は、 4.14倍(遅い型の人に比べて)

結論

化学物質過敏症の患者は、環境化学物質の代謝に遺伝的傾向があった。

CYP2D6とNAT2の遺伝子間で見ると、両方とも活性型の場合、とくに化学 物質過敏症が18.7倍になります。


解説

解毒というと無毒かという様に思われるかも知れませんが、化学物質が生体内の酵素で分解されて、初めて発ガン性物質に代わる事(代謝活性化)も多いのです。
  今回、化学物質過敏症の患者の人達の方が、より高い解毒酵素を持っていることが示されたわけです。
  分解されて、より毒性の強い物質に代わる(代謝活性化)は、発ガン性物質、農薬、環境化学物質など、数多くあります。
  著者は、早く分解すればするほど、毒性の強い代謝物の蓄積につながる可能性を指摘しています。
  アメリカ医学協会は、1994年に「化学物質不耐症を、心因的として放置すべきでない」と、病気として認めています。

(伊澤)

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