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魚をずっと食べていきたい! 〜水銀編〜
◆ 今回の論文は分かりやすくするために原文をそのまま訳していません(翻訳:伊澤) ◆
Predominant anthropogenic sources and rates of atmospheric mercury accumulation in southern Ontario recorded by peat cores from three bogs: comparison with natural “background” values(past 8000 year)
オンタリオ州南部(カナダ)の3つの沼のピート層のコアを分析して分かった、水銀汚染が圧倒的に人類が起こしたということ(過去8000年にさかのぼっての“自然”由来の汚染と比較して)
Nicolas Givelet ベルン大学  スイス
J.Environ. Monit., 2003, 5, 935-949

引き続き下記の論文もご覧下さい。




水熱活動、火山、土壌流失、燃焼などの自然活動によっても、水銀の汚染は起こっています。
自然活動や人類によって、水銀は環境中に放出され、大気中に1~2年漂って、地球全体に広がっていくガス性の水銀元素、汚染源の近くに落下する粒子性の水銀などがあります。
これらの水銀による、汚染が湖のどろや沼の最上層に見つかっており、増加しています。
さらにメチル化したメチル水銀は水環境中で生体濃縮されるので、地球全体の環境に懸念をもたらしています。
今回、オンタリオ州南部(カナダ)の3つの沼のピート層を掘り抜き、コア中の水銀などの重金属を分析し、その水銀の由来を検討しました。

コア層

結果

オンタリオ州南部の3つの沼のピート層のコアは水銀汚染に関して、同一の蓄積の時代変遷をしめした。この事は同じ汚染源が圧倒的(量が多い)ことを示している。
さらに水銀汚染が最大な時代(1950年代)は同様に鉛の汚染の最大値も示していた。製紙工場での、塩素―アルカリ工場は最近での最大の人類による水銀の汚染源だったのだが、それらの工場は鉛は排出していなかった。有鉛ガソリンは人類活動による最大の鉛の汚染源だったのだが、水銀には関係がない。
これら2つの水銀と鉛を共通にもっているのは、事実上、石炭の燃焼です。これらの仮説(石炭の燃焼が水銀と鉛の汚染源)を補強するものとして、硫黄の存在があります。
硫黄の最大濃度が水銀、鉛とも一致するのです。
石炭は、これらの3つの元素(水銀、鉛、硫黄)を多く含んでいます。さらに、デンマークやグリーンランド南部での同様の調査でも水銀と鉛の同様の汚染が同じ時代に見られています。
デンマークでの研究では鉛の同位体成分がイギリスの石炭中の同位体成分と一致し、石炭の燃焼が水銀と鉛の汚染をもたらした事を支持しています。
  フレモント氷河のアイスコアを用いた分析では産業が始まる前(1720年頃)に比べ、現在は20倍、水銀汚染が高いことを示しています。
現在、様々な除去技術によって、粒子状水銀は効果的に除去されているが、気体の水銀はほとんど影響がない。ピート層のコアで水銀濃度変化(減少)は必ずしも、水銀量全体(粒子状水銀と気体状水銀)の減少を意味しているわけではありません。
  

  • 1950年代をピークに現在では、ピート層のコア中の水銀量は減少していますが、 それが、必ずしも全水銀量が減少しているわけではないことを強調しています。

  • 解説

    魚の摂取、とりわけDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含む魚(いわし、さんま、あじ、さば、さけ)がアレルギー、糖尿病、心血管病、アルツハイマー病などの精神疾患、ガンに良いという研究結果が続々と報告されています。さらに胎児、乳児の脳の発達にもDHAが多く必要であることなど、そもそも人類の進化にもDHAが大きく関与していた可能性に言及している論文も数多くあります。
    一方DHAを多く含む、n-3系脂肪酸の摂取量は時代とともに減少しており、ここにきて
    魚の水銀汚染、ダイオキシン汚染から、「魚は危ない」という認識も広まってきて「魚ばなれ」が進んでいます。
    さかなと食べる子供
      さて、今回の論文は水銀汚染について調べたもので、実は人類そのものが、石炭(火力)によって1950年代に地球上に水銀をばらまいてしまった、というものです。ダイオキシンの汚染も人類活動によるものですが、水銀も人類活動によって、特に石炭の燃焼によって、起こしてしまって、その原因も確かめずに「魚は危ない」となってしまっているのです。
    野生生物の標本の羽、歯などを測定した研究でも、水銀汚染が現代に起こったことを示しています。魚の水銀汚染は魚種を選べば、そんなに問題ないし(いわし、さんま)なら大丈夫です。 (下記グラフ参照)
    でも未だに、水銀汚染が続いている可能性があることには危機感を感じます。
    それにしても、水銀汚染という現実は調べる事ができても、その原因をつきとめようという学者の少なさ、完全につきとめられない学問の未成熟さ、私達が人類がしてしまった、水銀、ダイオキシン、温暖化など、環境破壊の数々。そういうことを目の前にしても、なかなか変わらない人類社会、大丈夫かなーと思います。
    魚別水銀量 
                                
    (訳・解説  伊澤)

     スタッフ大島は考えました。
    人間が思っている以上に地球は狭かったようです。水銀量のピークは超したものの、やはり毎日の生活でこういった現状を知って過ごすことが大事ですよね。この論文を最初に読んだ時は、余りにも大きな事のように思え、隣にある危機感なのにピン!ときませんでした。自然の恵みによって私たちは生かされているのに、何もかもが無限に思えてしまう。愚かな事を長い間してきてしまった つけは私達の力で少しずつ改善していけたらと思います。ゴミを減らす、節電、車に極力乗らない、等今となっては当たり前になってきているのですが、まだまだ足らないような気がします。まずは「知る事」が大事だと思います。私達名古屋生活クラブは「伝える事」が役割だと思います。

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