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養殖サケの汚染
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆
世界中の養殖サケの汚染の状況
Global assessment of organic contaminants in farmed salmon.

Ronald A Hites インディアナ大学 アメリカ
Science 9 January 2004 vol.303

我々は、700もの世界中の養殖と天然のサケの汚染を、全体で2ton調査した。有機塩素系の汚染物質、(DDT、エンドリン、ディルドリン、PCB、ヘプタクロール ヘキサクロロベンゼン)の残留を調べた。
  これらの汚染物質は、天然のサケより、養殖サケに統計的に有意に高かった。
  ヨーロッパ産の養殖サケが、北アメリカ、南アメリカ産の養殖サケより高かった。
  養殖サケのエサには、魚油とフィシュシールが使われており、遠洋漁業で漁獲された小魚が主に使われている。
我々は、養殖サケのエサ、13サンプルを分析した。
  これらのエサ中の汚染物質の濃度は、ばらつきがありましたが、その汚染値は、養殖サケの汚染値と同レベルか、それ以上でした。
  ヨーロッパで購入したエサは、北アメリカ、南アメリカのエサに比べ汚染が高かった。

これらの汚染値をアメリカEPA(環境保護庁)の健康リスク(発ガン)に当てはめてみると・・・
(汚染物質の中で、PCB、トキサフェン、ディルドリンだけ選んで)




解説

札幌中一(生活クラブが扱っている北海道の水産業者)の橋本さんから、 「日本のサケが輸出が増えて、値上がりしている。ワイルド(天然)サーモンとして安全性が評価されて、輸出が増えている」  と聞きました。  今回、このサイエンスに載った論文を読んで、又、それに関するワシントンポスト、ニューヨークタイムズ、タイムズなどの各紙に載った議論なども読み、ようやく納得しました。  養殖サケは、エサにする小魚に含まれている汚染物質を、生体濃縮するため、又、エサの魚油、フィシュシールが濃縮して、汚染物質を含むため、高度に汚染されています。  今回、調べたのは、有機塩素系の農薬、PCB、ダイオキシンですが、同様の調査で有機臭素系の汚染も報告されています。  養殖サケは、抗生物質耐性菌の蔓延もあり、あまり頻繁に食べるものではない様です。

(訳:解説 伊沢)(2006.6)

   
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