HOME食品安全情報
乳ガンと大豆中のイソフラボン
◆ 論文で紹介します(翻訳・もみのき) ◆
Plasma isoflavone level and subsequent risk of breast cancer among Japanese women:
a nested case−control study from the Japan Public Health Center−based prospective study group.
日本人女性における血しょう中イソフラボン濃度:国立健康センターの研究グループによるcase−control研究
国立ガンセンター ガン予防・検診研究センター
予防研究部2008年4月1日;26(10):1677−83.

今回は大豆に含まれるイソフラボン(ゲニステイン、ダイゼインは代表的な成分)に関する論文をご紹介します。

消費量に大きな差があることから、アジアの国々はイソフラボンの多量摂取が乳ガンリスクに及ぼす影響について研究することに向いています。
それにも関わらず、イソフラボン摂取の指標として血中もしくは尿中のイソフラボン濃度を評価したアジアの研究はありません。
そこで、この研究では日本人女性の血中イソフラボン濃度と乳ガンリスクとの関連性について調査しています


方法

健康センターにおいて、1990〜1995年にいくつかの質問事項(食習慣など)に答え、血液サンプルを提供してくれた40〜69歳の女性24226人について、平均10.6年後の2002年12月に診察しました。
2002年に新しく乳ガンと診察された患者144人に対し、患者でない人の中で患者と条件のつり合う人を対照者として同じく144人選抜しました。
乳ガンリスクについては、倍率(0〜1の値で、数値が小さい程リスクが低い値)を求めました。


結果

解血しょう中のイソフラボン濃度でLowest(最も濃度が低い),Second,Third,Highest(最も濃度が高い)の4グループに分類した場合、

  • ゲニステイン濃度が最も低いグループの値を1としたとき、最も高いグループのリスクの倍率は0.34と統計的に有意に低かった
  • ダイゼイン濃度が最も低いグループの値を1としたとき、最も高いグループのリスクの倍率は0.71と低かったが、統計的に有意ではなかった

  • やじるし

    血しょう中のゲニステイン濃度が高いと、乳ガンリスクが低いという関連性が認められた

    しかし、イソフラボンについてはこのような報告もあります。


    Uterine adenocarcinoma in mice treated neonatally with genisteinn.
    ゲニステインを産まれてすぐのマウスに投与すると、子宮腺ガンが生じる
    (Cancer Research 61.2001) Retha.R Newbold 国立環境健康科学研究所 アメリカ


    メスのCD−1マウスの生後1〜5日の間、 イソフラボンであるゲニステインを投与し、生後18ヶ月で観察しました。

    投与量:ゲニステイン50mg/kg/日としました。

    考察

    イソフラボンの摂取がガンのリスクを低減させることが示唆されました。しかし、過度の摂取・発達中の乳児などについては逆にガンのリスクを増大することも考えられます。 そこで、総合的に考えると、

  • 大豆製品は心がけて食べること
  • 濃縮タイプの製品は避けること
  • 乳児には特に過度な大豆製品(大豆製の粉ミルクなど)は食べさせないことに気をつけてください。
  • (翻訳・文責:もみのき)
    HOME食品安全情報
    名古屋生活クラブ 2009 Copyright NAGOYA SEIKATSUCLUB,INC. All Rights Reserved