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こんなに違う!日本とヨーロッパの農薬の現状
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆
European farmers plough ahead
ヨーロッパの農薬使用の現状

Pesticides News 78. December 2007
PAN-EUROPE. 農業行動ネットワーク ヨーロッパ

ベルギー

1988年設立のGAWI は、利益を目的にしない(ノンプロフィット)果物の生産者グループで、主な目的はIPM(総合的有害生物管理…農薬を減らす、農業のやり方)の普及です。GAWIは43人の生産者を持ち、ワロニー地域の果樹栽培の2/3に達しています。 ここではすべての農薬を下の@〜Cに分類しています。

  • 緑…使用が正当な時使っても良い農薬
  • 黄…緑に当たる農薬が向いていない時のみ使える農薬
  • オレンジ…必要かつ、許可された場合のみ、使える農薬
  • 赤…完全に禁止されている農薬

  • GAWIは、参加生産者の生産物(果物)を、フルーツネットラベルで表示して販売しています。 フルーツネットはベルギー国内のなし、りんごの12%をDelhaize-Le-Lionというスーパーマーケット120店舗で主に販売しています。

    デンマーク

    1986年、デンマークの政治家達は、食料と水の農薬汚染に危機感を持ち、国の初めての農薬半減に向けての第1回目の計画を始めました。以来、デンマーク政府は、第2、第3の計画を採用した20年後の結果は目覚しいと言えます。デンマーク農民は、20年前の50%以下の農薬しか使わず、デンマーク国内産の野菜は輸入品に比べて6分の1の農薬汚染を達成しています。水質は2倍良くなっています。それらのことが、何らの経済的な損失も農民に与えていないのです。

    スイス


    過去15年での農薬販売額40%減を達成しました。スイスは、ヨーロッパの中で最も成功しています。低農薬で総合的な生産法が全ての作物で発展しています。これらの達成は、2つの主要な要因で成功しています。
    1つは、スイスの農業補助金が農家に最低限のエコロジカルな基準を要求する見返りに「直接支払」されるもので、1年間に16億ユーロ(約2672億円)で、害虫が出現する前の殺虫剤の使用制限(その代わり、害虫警告サービスを利用したり、害虫の予測システムを利用する)や散布機械の4年に1回ごとの定期点検などを行います。
    それに加えてスイスの農民は、農薬使用減を実証すれば、さらなる補助金をもらえるのです。2004年度スイス政府は、1万1000人の農民に、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調節物質などの使用を止めたことで更なる支払いをしました。その他にも、飼料農家1万3000人、ナタネ農家2000人にも支払いをしました。
    1万8000人のスイス農民は、IPスイス(総合害虫管理スイス)に入っています。最近では、IPスイスに入会している農家の生産量は、11万トンの小麦、35万トンのじゃがいも、2千トンのナタネになっています。
    スイスの4000人の果樹生産者のうち、約3000人はIPスイスに入会しており、りんごの92%、いちごの85%、ラズベリーの70%の生産を占めています。


    解説

    このように、ヨーロッパ各国では農薬使用の削減に向け、様々な動きを見せています。
    農薬大国と言われる日本はどうでしょうか?農薬についての意識と知識がヨーロッパより低いと言えるのではないでしょうか。
    農薬の危険性と環境汚染問題について、日本人一人一人が考えなければ(もちろん農家も)農薬使用は減らないと思います。まずは無農薬の野菜を食べることから考えるきっかけにしてください。

    (翻訳・文責:伊澤)

     
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