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飼育方法の違いによる牛肉の栄養成分の差
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆
The role of grass feeding in improving oxidative stability
and increasing vitaminB12 content of beef and veal
草で育てた牛肉の酸化安定性とビタミンB12量
V.Pastushenko.
ロストック大学 ドイツ

この研究の目的は、草で育てた牛肉のフリーラジカル除去能(酸化安定性)とビタミンB12量を調べることです。
濃厚飼料で育てた26頭の牛とエコロジカルに放牧で育てた25頭の雌牛と28頭の子牛からの肉を使った。 放牧で育てた牛の肉の酸化安定性は、濃厚飼料で育てた牛の肉より高かった。(1.39:1.09)
ビタミンB12量も放牧の牛肉で多かった。(100g中3.24μg〜3.32μg)(標準値は1.3μg/100g) 放牧で草で育てた牛肉中は酸化安定性が高く、ビタミンB12量も多かった。



最近の研究(1999年.Matthes、2000年.Pasthshenko)によると、 濃厚飼料で育てられた牛と牧草で育てられた牛の脂肪酸は全く違っている。放牧して青草で育った反芻動物の肉は、 多価不飽和脂肪酸の供給源として、又、n-6/n-3比という点からも好ましい物である。
α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、共役リノール酸などを多く含み、 低いn-6/n-3比、高い多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比、など、健康的な食事の成分として重要である。


解説

多価不飽和脂肪酸は重要な栄養成分で、酸化を受けやすい。 酸化に対する充分な安定性があるということは、活性酸素による酸化をまぬがれているばかりではなく、消費者に、 健康への有用性ももたらしている。
活性酸素による反応を防ぐメカニズムは家畜の飼育方法によっており、放牧飼育 のプラスの影響を証明している。野外でのエコロジカルな飼育は、舎飼いに比べてストレスが少ない。
舎飼いは、おそらくカテコールアミンを増加させているだろう(ストレスにより、カテコールアミン(ストレスホルモン)が増加する)。カテコールアミンはモノアミンオキシターゼという酵素で酸化されて、水酸化ラジカルの生成につながる。 青草に含まれている天然の多くの抗酸化物質の調和的な効果が放牧家畜の高い抗酸化能力になっているのだろう。
ビタミンB12は、神経細胞の活動やDNA複製、炭水化物代謝、ミエリン形成やホモシステイン濃度調節に、更に酸化 バランスの調節に必要なビタミンです。

(翻訳・文責:伊澤)

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