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食用油中の3-MCPD脂肪酸エステル
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆
Fatty acid esters of 3-chloropropane-1.2-diol in edible oils.
食用油中の3-MCPD脂肪酸エステル
Zelinkova Z 化学技術研究所 チェコ
Food Addit Contam, 2006 Dec;23(12):1290-8

バージンオイル(未精製油)および精製油 25種類中のMCPD及びMCPD脂肪酸エステル量を分析した。

遊離の(MCPD単独)量は検出限界(3ppb)以下から24ppbまでの範囲でした。驚くことにMCPD脂肪酸エステルはもっとずっと高く、検出限界(100ppb)以下から2462ppbの範囲でした。平均的には未精製油中のMCPD脂肪酸エステルは比較的低く、100以下から300ppbまでの範囲でした。

高い濃度のMCPD脂肪酸エステルが検出されたのは、種を焙煎して作られている油(337ppb)と精製油のほとんど(300以下から2462ppbまで)でその中には精製オリーブ油(ピュアオリーブオイル)も含まれていました。

大まかに言えることは、MCPD脂肪酸エステルの生成は種の焙煎過程と、油の精製工程に影響されています。

ナタネ油の精製工程で調べてみると、脱ガム、漂白、脱臭工程をへるに従って、MCPD脂肪酸エステルは減少していきますが次の100℃〜280℃での30分の加熱及び230℃(260℃)での8時間までの加熱で増加します。

比較にサラミ中の脂肪のMCPD脂肪酸エステルを分析したところ1670ppbでした。

解説

3-MCPDはタンパク加水分解物中に含まれる毒物として、WHOなどによって危険性が指摘されました。発がん性については「認められない」とされていますが、実際の実験では腎ガン、精巣ガンが増加しており男性ホルモンの減少、女性ホルモンの増加による2次的な原因とされています。

今回のこのエコナ販売中止を受けてグリシドール脂肪酸エステルを調べたところ、3-MCPDがグリシドールに変化する可能性に言及している論文がありました。模式的に書くと

3-MCPD及びグリシドールの生成過程

そもそも脂肪の構成分子のグリセリンが加熱(200℃くらい?)でグリシドールや3MCPDといった毒物に変わります。
タンパク加水分解物は多くは塩酸と一緒にタンパク質を加熱することで3MCPDを生成し、油を精製する過程で高熱にするとグリシドール脂肪酸エステルを生成し、特にエコナは温度が高いのではないでしょうか?

タンパク加水分解物も精製油も100年前にはなかったものです。

追加

このMCPDはパンの生地中にも見つかっています。

母乳中には300ppb以下〜2195ppb(平均1014ppb)

(脂肪当たり)

(ミルク1kg中に35.5μg)

又、MCPD脂肪酸エステルは簡単に分解してMCPDを生成するという実験結果もあります。

結論

高温をかけた油には危険がともなう。

どういう毒物が出来ているか分からない。

MCPD脂肪酸エステル量
未精製油 100(検出限界)以下〜300ppb
ばいせん油 337ppb
精製油 300以下     〜 2462ppb
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