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比較的果物と野菜の摂取量が少ない集団でのりんごの
日常的な摂取が大腸ガンに有効なことを示している症例対照研究

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

Case-control study on beneficial effect of regular consumption of apples on colorectal cancer risk in population with relatively low intake of fruits and vegetables.
比較的果物と野菜の摂取量が少ない集団でのりんごの日常的な摂取が大腸ガンに有効なことを示している症例対照研究

Jedrychowski W.(Jagiellonion大学. ポーランド)
Eur J Cancer Prev. 2010 Jan;19(1):42-7

試験管内での実験や動物実験でりんごの有益性が示されていますが、りんごの日常的な摂取がどの程度。大腸がんの予防に効果があるか疑問を投げかけています。大腸がんの患者592人が病院での研究に参加しました。対照者は同じ病院の患者でガンにかかったことのない患者765人を選びました。経験を積んだインタビュアーが病院内で聞き取り調査をしました。

大腸がん患者の平均の果物摂取量は統計的に有意に低かった(大腸がん患者は週に9.5サービング、対照者は11サービング)。

果物の中でりんごが最も多く、果物の摂取量の違いをもたらしている物もりんごだった。他の果物(ベリー、柑橘、ストーンフルーツ他)では違いが見られなかった。

補正した大腸がんの危険性は1日にとるりんごのサービング数に逆比例していた(訳注・りんごを摂取する人ほど大腸がんが少なかった)。1日に1個以上のりんごの摂取をする人は大腸がんの危険が半分になっていた(0.53)。野菜の摂取や他の果物は大腸がんの危険に影響していなかった。

人での大腸がんに対する予防効果はりんごがフラボノイドやポリフェノールなどガン化とがん細胞の増殖を抑える物質を含んでいることから生じている。

解説

「野菜や果物が体に良い」とは言われているものの、なぜ良いのかどれくらい良いのか、サプリメントで補えるのか、など詳しいことは、はっきりとは分かっていません。それに比べサプリメントとして使われるビタミンC、Eなどは研究も古く、解明されていることも多いので使っている人も安心して、信頼して使っているのでしょう。ところがこれらのサプリメント中のビタミン、疫学調査では効果が出ないどころか、有害の報告すらあります。そんなかで有用性が増しているのが「野菜、果物」ですが、そのなかのビタミンの有用性は限定的で、それ以外の成分、つまりフラボノイド、ポリフェノールなどの研究が進み、有用性が明らかになりつつあります。今回の論文では、りんごが主な摂取源なので、りんごの有用性が出てきましたが、りんご以外の果物ではダメかというと、そうではないはずです。たぶん、他の果物は摂取量が少なすぎて影響が検出できないだけだと思います。それにしても、りんごはフラボノイド、ポリフェノールを多く含んでいるのも事実です。特に皮に多く含まれています。家計が苦しくなると果物を真っ先に節約対象にされることが多いですが、果物は摂っても摂らなくても良い嗜好品ではなく、摂るべき食品です。日本人の果物摂取量は少ないので、積極的に果物を摂ってください。それも「皮ごと食べられる、安全な果物を!」

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