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ラット膀胱内への投与でのベンジルイソチオシアネートと
アリルイソチオシアネートの毒性

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

Toxic effects of benzyl and allyl isothiocyanates and benzyl-isoform specific metabolites in the urinary bladder after a single intravesical application to rats.
ラット膀胱内への投与でのベンジルイソチオシアネートとアリルイソチオシアネートの毒性

Masutomi N.( 国立健康研究所)
Toxicol Pathol 2001 Nov-Dec, 29(6) 617-22

アリルイソチオシアネートは弱い発ガン物質で、ベンジルイソチオシアネートはラットに膀胱ガンを起こす事が示唆されています。

Carcinogenesis Bioassay of Allyl Isothiocyanate in F344/N Rats and B6C3F, Mice
アリルイソチオシアネートの発ガン試験

National Toxicology Program (アメリカ国家毒性計画)

 

0

12mg/kg

25mg/kg

 

移行上皮性乳頭腫
 オス、ラット

0/49

2匹/49匹

4/49

この研究所でのラット568匹中、
この腫瘍にかかったラットはいない

上皮過形成(膀胱
 オス、ラット

0/49

1/49

6/49

 

繊維肉腫
 メス、ラット

0/50

0/50

3/50

この研究所でのラット591匹中1匹のり患
統計的に有意でない

 

結論

オス  ラット   証拠あり(発ガン)
メス  ラット   どちらともいえない
オス  マウス  否定
メス  マウス  否定
発ガン性なし

 

解説

アリルイソチオシアネートはアブラナ科に含まれている植物由来化学物質で人工合成されて、わさび、からしの成分にも使われています。

このアメリカ国家毒性計画の論文でも、オスのラットに対する発ガン性が認められています。メスのラットに対しては、50匹中3匹の繊維肉腫が出ました。このガンは、この研究所でのラットの対照実験で(何も毒性を与えていない)591匹中1匹がガンになったという、この系統のマウスとしては、珍しいガンです。そんなガンに50匹中3匹もかかったのにも関わらず、発ガンが認定されていません。僕はこの確率計算がどの様に計算されているか知りませんが、25mg/kgでの3匹、12mg/kgでの0という数字だけで計算されています。そうすると、この数字では、統計的に有意(5%の偶然で3匹に起こることもある)ではなく、発ガンに関しては「どちらとも言えない」となるのです。更にマウスで発ガン性が否定されたので、結論として、「発ガン性なし」になってしまいます。発ガンが認定されるには、ラットのオス、メス、マウスのオス、メスのどれにも発ガンの証拠がないと認められない様です。

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