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子供の時に放射性ヨウ素131を被曝したことによる |
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆ |
Risk of thyroid cancer after exposure to 131I in childhood Elisabeth Cardis 国際ガン研究機関(IARC) |
1986年4月のチェルノブイリ原発事故後、汚染地域で子供の甲状腺ガンが大幅に増加したことが報告されている。甲状腺に対する被曝のほとんどは、ヨウ素の同位体、とくにヨウ素131によっている。私達は、ベラルーシとロシア連邦で、子供の時に放射性ヨウ素を被曝したことによる甲状腺ガンのリスクを計算するため、症例対照研究を行った。私達は、1998年までの甲状腺ガンの患者276人と、その276人に類似した1300人の対照者(両者とも事故の時には15才以下だった)を研究した。 個人ごとの被曝量は、事故時の住所や食事習慣から推定し、及び事故時にヨウ素が不足していたかどうか調査した。 結果 子供の時に甲状腺が受けた被曝量と甲状腺ガンには、量に比例する強い関係がみられた。1グレイ(訳注.1グレイ=1シーベルト=1000ミリシーベルト)の被曝で甲状腺ガンは5.5倍から8.4倍になった。 1.5グレイから2グレイまでは、比例してガンが増加した。ヨード不足の地域では(訳注.地域の土にヨウ素含量が少ない場合、その土地の産物にはヨウ素が少なく、結果としてその地域の住民にもヨウ素が不足している)、リスクが3倍になった。ヨウ化カリ(訳注.ヨウ素剤)の投与は、リスクを1/3に下げた。 @今回の実験の参加者の被曝量 A被曝量(甲状腺)の B外部被曝線量 Cセシウムによる内部被曝 D年齢別の被曝量 解説 福島原発事故での甲状腺被曝線量の推定値(スピード)が報告されています。20k〜40k圏にかけて500ミリシーベルトの等価線量が推定されています。500ミリシーベルト=500ミリグレイなので、ベラルーシの子供が被曝した量と、今回の20k〜40k圏の一部での500ミリシーベルトは、同じ範囲にあります。福島原発の40k圏内で被曝した子供達、とくに乳幼児が将来甲状腺ガンになるリスクが生じています。実験でのD年齢別の被曝量をみても、圧倒的に若い子ほど危ないことがわかります。 今回の論文で重要なことは、国際ガン研究機関(IARC)という国際機関の論文であること、また、被曝量と発ガンが比例関係にあり、特に低線量で顕著なことです。同じ国際機関でもICRP(国際放射線防護委員会)は、低線量でのリスクに疑いを持っており、切り捨てようとしています。放射線に安全な量(発ガンに関して)はないのです。「量に比例する」というのが今でも一般的な認識です。(伊澤) |
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