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農薬が起こすハチ群崩壊症候群(CCD)

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

High levels of miticides and agrochemicals in north American apiaries : 
  Implications for honey bee health.
北アメリカハチ類に高濃度の殺ダニ剤と農薬がみられる:みつばちの健康に対する意味

Christopher A, Mullin ペンシルベニア州立大学 アメリカ.
PLOS ONE March 2010 volume 5 Issue 3.

2006年から2009年のこの3年間の冬期にみつばちの群の3分の1が消失した。この消失、Colony Collapse Disorder(ハチ群崩壊症候群CCD)は、アメリカ国内の大学と農務省との協同研究で原因を探っている。

CCDは、成虫の急速な消失と、女王蜂、幼虫が残っていること、侵入蜂や巣箱に他の虫がいないことなどが特徴です。

農薬がこの減少の原因として長い間疑われてきました。

これらの農薬の多くは、親油性の化合物で、ピレスロイド系、有機リン系、殺菌剤、除草剤などで一般的な、ガスクロマト―質量分析器で分析できる。

High-value seed technology(高付加価値、種処理技術?)の採用が浸透性農薬を広げています。それは、花を含むすべての植物器官を季節ごとに守るものなので、結果として、偶然に、花粉やみつも浸透性農薬で汚染してしまう(訳注:浸透性農薬…種子をこれらの浸透性農薬で処理すると、すべての植物器官に移行する。その結果、みつばちのエサである、花粉やみつも高濃度にこれら浸透性農薬で汚染されている)。

つい最近開発されたLC/MS-MS法で、これらのネオニコチノイド系の浸透性殺虫剤を分析できる様になった。

この感受性を増大させたLC/MS-MS法は、ppbレベルでの農薬の残留量分析を可能にした。このppbレベルでハチは死なないまでも、行動に異常を起こしたり、免疫に異常を起こしたりします。

アルディカーブ(商品名テミク)の様な、他の浸透性農薬とその毒性のある代謝産物、多くの極性を持つ農薬や分解産物は、この分析法以外では、ppbレベルでは分析できない(訳注:ppb…10億分の1)。

方法・結果

私達は、LC/MS-MS法とGC-MS法でハチと巣の農薬を分析した。121種の農薬と代謝物を計887のワックス、花粉、ハチ、巣箱から検出した。259のワックス、350の花粉の約60%は、少なくとも1つの浸透性農薬を含んでいた。巣箱に使う、殺ダニ剤のフルバリネイトとクマホスは47%以上から検出された。

花粉では、クロロタロニルが最大値99ppmまで含まれている。

結論

ハチが集めた花粉中には、98種類もの農薬が含まれ、その最大値は214ppmだった。このことは、ハチの成虫と幼虫のエサが高度に毒物に汚染されていることを意味している。

これら多くの神経毒物(農薬のこと)は急性で致死量ぎりぎりにハチを弱めるのだが、これらの物質が組み合わさって、直接CCDを起こしているのかは、まだわからない。

CCD

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