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医療用X線の発ガンリスク:イギリスとその他14ヶ国評価

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

Risk of cancer from diagnostic X-rays : estimates for the UK and 14 other countries
医療用X線の発ガンリスク:イギリスとその他14ヶ国評価

Amy Berrington de Gonzalez オックスフォード大学 イギリス
Lancet 2004 ; 363 : 345-51

私達は医療用X線による発ガンリスクを75才までの年齢で計算した。被曝後のガンの発生率、1年間にどの種類のどのくらいの放射線量を曝びているか、X線の種類によって臓器がどの位被曝するか、イギリス含め15ヶ国の発ガン及び全死亡率データなどのデータを集め計算した。

結果

イギリス国内では、75才までにガンの内0.6%が医療用X線が原因になっていることが示された。これは1年間に約700人の発ガンに相当する。他の13ヶ国では(オーストラリア、カナダ、クロアチア、チェコ、フィンランド、ドイツ、クェート、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、スイス、アメリカ)では0.6%から1.8%のガンが医療用X線が原因と計算された。一方、日本は世界中で最も一年間当たりのX線撮影回数が高く、3%を越えていた(発ガン人数として年間7587人)。日本に関しては、一年間のCT回数の利用できるデータがないので、他の国々(ヘルスケアレベル1の国々)と同じとして計算した。しかし、人口当たりのCTスキャンの台数は、このヘルスケアレベル1の国々と比べて3.7倍なので、それに基づいて計算すると、発ガンは4.4%、1年当たりにして9905人の発ガンが計算される。

イギリス国内での医療用X線使用が比較的に低いのは、王立放射線大学?(Royal College of Radiologists)が出している医者向けのX線撮影法の詳細ガイガンスに一部よっている。

解説

日本国内にいると、どんな病気でも健康診断でもX線、CTを使われることが多く、こちらも慣れっこになってきているし、どこの国でもそんなもんだろうと思っていたのですが、日本だけが突出していました。

健康診断の肺レントゲン検査も、あの厚生省すらやめようとしていたのに医師会などから反対が出て続けています。肺のレントゲンで肺ガンを見つけるのが難しいことがわかっていてもやめないのです。それでは、肺がんを見つけるためのCTはどうでしょうか。「低線量CT肺癌検診の有効性評価」大阪府立成人病センター調査部では、「…高い要精検率、高い費用、放射性被曝という三つの不利益を解消することが低線量胸部CT検診にとっての課題であり、解決されない状況での普及は推奨できない。」と結んでいます。

放射線はリスクがある、という当たり前のことがどこかに行ってしまっている専門家が数多くいるし、自分自身もなんとなく受け入れてきていたな、と思います。

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