私達はカルフォルニア州大気資源局とカルフォルニア州農業規制部に提供してもらった大気中の農薬データをもとに、カルフォルニアの地域社会に住む人々の農業吸入による危険性を計算しました。危険性は、農薬濃度の中央値(一番多い濃度)、25％値(吸入濃度の高い方から25％の人が含まれる濃度)、5％値(高い吸入濃度から5％の人が含まれる濃度)で計算しました。

生涯発ガン危険性(生涯70年として、その間にかかるガンの危険性)が100万人に１人以上の危険性を持つ農薬は、1,3−ジクロロプロペン(D-D剤の成分)(1990年の調査で半数の人達に)、濃度の高い方から25％の人に対し、メチダチオン(商品名スプラサイド、日本でも使用される有機リン系殺虫剤)、モリネート(日本でも使用される水田の除草剤)でした。

1,3−ジクロロプロペンの生涯発ガンリスク（100万人当たり）

※年度によって調査地点が変わり、その地域の農薬の使用が異なっているため差があります。吸入濃度が高い人で生涯発ガンリスクが高いことがわかります。

解説

カリフォルニア州は農薬の使用を監視しています。また、大気中の農薬を測定しています。今回の論文はカルフォルニア州の部局が出したものです。商品名D-D剤（1,3−ジクロロプロペン）はトマト、スイカなどの土壌消毒に使われる農薬で日本では2004年に単剤9519トン、複合剤439トンが生産されています。この論文でも発ガン危険性が計算されているように発ガン性があります。作物への残留はなさそうですが、地下水、大気を汚染しています。