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n-3脂肪酸はインシュリン感受性を維持している

◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆

3 fatty acids preserve insulin seusitivity in vivo in a peroxisome oliferator-activated receptor-α-dependent manner
n-3脂肪酸(ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA))は生体内でPPAR-α(ペルオキシゾーム増殖因子α)を通して、インシュリン感受性を維持している

Susanne Neschen. エール大学 アメリカ
Diabetes , Vol56 , April 2007

肥満とインシュリン抵抗性(インシュリンが効きにくくなること)は、脂肪代謝の乱れに関係している。ねずみの場合、脂肪過多のエサが細胞内の脂肪の蓄積とインシュリン抵抗性を乱すことを、いくつかの研究が証明している。

一方、ラットが紅花油(n-6系の脂肪酸のリノール酸などを多く含む)の代わりに魚油(n-3系脂肪酸のDHA・EPAを多く含む)で育てられると、脂肪(過多)によるインシュリン抵抗性は起こらない。この魚油の効果はDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)によっている。魚油は、細胞内外の脂肪代謝に影響し、インシュリン感受性(インシュリンに効くこと)の組織では、代謝を促進することで減らしている。このn-3脂肪酸のインシュリン感受性の回復は、ペルオキシゾーム増殖因子α(PPAR-α)によっているらしい。

天然のPPAR-αのリガンド(PPAR-αに結合してその働きのスイッチを入れる物質)は、DHAとEPAでPPAR-αが関与する遺伝子、例えば肝脂肪酸結合タンパクなどの脂肪酸燃焼などに関係している遺伝子を活性化する。

それは肝での脂肪酸取り込み、その燃焼といった反応を誘導する。

解説

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脂肪酸は現状では種類の違いよりも摂取総量を少なくすることで肥満、糖尿病の対策とされています。が、最近の研究では、種類の違いによって大きく働きが違っていることがわかってきました

その中でも、特に注目を集めているのがDHAとEPAです。この論文ではDHAとEPAが細胞内で直接PPARという受容体に結合することで、脂肪を燃焼する方向の遺伝子を活性化し、インシュリンが効きやすい身体に変えていくことを証明しています。同じ不飽和脂肪酸であるn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は正反対に働くことが多く、かつ現在の食生活ではn-6系が多く、n-3系が少なく、アレルギー、糖尿病、肥満などの病気を増やすことにもつながっていますn-3系脂肪酸の摂取を増やすことが重要です。n-3系脂肪酸を増やすには、まず第一に魚の摂取を増やすこと。次には、牛乳、肉製品で、なるべく青草を食べて放牧している食品を増やすことです。その重要性を考えて、放牧の食品を探して、取り入れています。

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インシュリン抵抗性
インシュリンは出ているにもかかわらずインシュリンが効かなくなっている状態。この状態をインシュリン感受性に戻すことが治療になる。

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