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デンマークのトランス脂肪酸ストーリー
◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆
The trans fatty acid story in Denmark.
デンマークのトランス脂肪酸ストーリー
Atherosclerosis Volume7 May 2006 43-46
Arne Astrup (元デンマーク栄養委員会議長)王立獣医農業大学 デンマーク

始めに

デンマークでのトランス脂肪酸問題は、1993年にウォルター・ウィレットらが英医学誌「ランセット」に報告したことに始まり、以来特別な歩みをたどり、最後にはデンマーク国内における工業的な食品産業全体へのトランス酸規制へと行き着きました。
 なぜ同じ問題についてデンマークだけが、他のスカンジナビア諸国やヨーロッパ、世界中の他の国々と違った道をたどったか、その理由を知るには、この問題の背景―― メディアと政治家がいかに関わったか、を理解する必要があります。
 1992年、The Danish Nutrition Council(デンマーク栄養委員会)が設立され、私(Arne Astrup 著者)がその議長を2003年まで務めました。私が議長に任命されたその委員会は、デンマーク医学協会とデンマーク酪農局によって設立されたもので、資金的なサポートはデンマーク乳業委員会から受けており、そのことが問題を孕んでいると感じました。さらに、デンマーク医学協会に資金提供をおこなっているメンバーは、デンマーク豚肉産業、デンマーク食肉産業、鳥肉と卵の委員会とデンマーク・マーガリン産業協会によって成り立っていました。この様に、食品製造業者の一団が栄養委員会のバックを支えていたのです。

さて、栄養委員会は激論の末に、サプリメントの無差別的な使用についての危険を警告しました。それに対して、サプリメント産業は栄養委員会を閉鎖に追い込もうとし、さらに、議長をオフィスと大学の両方から追放しようとしました。しかし、彼らのその試みは失敗し、デンマーク議会は、栄養委員会を国の施設とすることを決定したのです。


トランス脂肪酸

ウォルターウィレットのプレスリリースが1993年、ランセットにのった時、デンマークラジオのジャーナリスト、クラウス ジャコブセンが私にファックスを送ってきて、コメントを求めた。
  プレスリリースは、1日に4スプーン以上のマーガリンをとっている婦人は、心臓病のリスクが50%増える、部分水素添加した植物油は飽和脂肪酸の代替の利点を減らし、代わりに、心臓病につながっている、というものでした。
  メディアにインタビューされた専門家の多くが、このトランス脂肪酸の問題に狭い洞察しか持っておらず、多価不飽和脂肪酸の有害な影響と混同していた。この手の誤った情報は、世界を間違って導く。


スカンジナビア諸国では

デンマーク心臓協会は、マーガリンのパッケージへのロゴ使用の見返りに、ハードマーガリンの売り上げからロイヤルティーをもらっていた。
  地方委員会の議長は、心臓病を予防するより促進したかもしれない製品の保証に関わってきたことに失望を表明した。
  マーガリン産業は、ノントランスマーガリンの製造は非常に高くつく、といち早く表明し、反応した。
  しかし、その後の10年間の展開は、このことが正しくなかったことを示している。
  デンマーク食品局の反応は面白い。デンマークで大きい新聞の1つである(Politiken)記事の中で、
「新しいガイドラインには根拠がない。現在のところ、トランス脂肪酸の摂取を減らす十分な証拠はない」
  スウェーデン栄養財団は、デンマーク栄養委員会を支持してくれなかった。
  プレスリリースで、
「トランス脂肪酸と飽和脂肪酸は健康に対して同じ効果を持ち、トランス脂肪酸の摂取と心臓病の関係を支持する証拠はない」
  その後の歴史に照らしてみれば、これは産業に好意的な表明だった。
  トランス脂肪酸は飽和脂肪酸より有害である、という考えは、粗野ではないし、さらに、トランス脂肪酸の摂取から生じる利点がある、という証拠も全然ない、という事実に、デンマーク協会は導かれていた。


最初のレポート

デンマーク栄養委員会の最初の報告書が1994年に出された。トランス脂肪酸は、血栓症、動脈硬化の悪影響が大人、胎児、幼児にある、と結論した。
  数年以内に食品から除かれるべきだとした。
  マーガリン産業の反応は、すべての製品からトランス脂肪酸をなくすことに同意し、ゼロトランスマーガリンに向けて、マーガリン協会内のメンバー同士の競争が始まった。
  いくつかのメーカーは、トランスマーガリン(ゼロトランス)によって市場の利益を上げようと努力した。


ファーストフードチェーンは

マクドナルド、バーガーキング、ケンタッキーフライドチキンの調理油が高いレベルのトランス脂肪酸を含んでいることに、次の問題として集中した。
  マクドナルドとバーガーキングの調理油は、30%ものトランス脂肪酸を含んでおり、10万人以上ものデンマーク人は、1日に5g以上のトランス脂肪酸を摂っていることになるからです。
  デンマーク栄養委員会は、大きいファーストフードチェーンに手紙を書き、調理油のトランス脂肪酸のレベルを下げる様、求めた。マクドナルドはすぐにこれを受け入れ、そのことを宣伝した。何年にもわたって、デンマーク栄養委員会はメディアを通して政治家と産業界に圧力をかけつづけた。


2番目のレポート

この中でデンマーク栄養委員会は、法制化と、トランス脂肪酸の2%以下への徐々な減少を提案した。
  デンマーク マーガリン協会は、1年以内にトランス脂肪酸を5%以下に下げる(製パン)とプレスリリースした。
  その中で、議長のFrederik Madsenは、「我々は、デンマークでは0%にできる。しかし、「不当な競争」を避けるEUの法制化を必要としている」(他国製品の締め出しに繋がるから?)
  デンマークの食品農業大臣 Ritt Bjerregaardと、彼女の後継者、Mariann Fischer Boelの両者は、デンマーク栄養委員会が正しい デンマークの法制化を、そして、これをEU内で認めさせ、さらに、EU全体の食品法にするために、可能な限り何でもすることを確信した。
  食品業界は、EUでの法制化に反対し、貿易障壁を作り、均衡が取れない、と言った。
  しかし、デンマーク自身の法を持つことが2003年6月に認められた。
  それは、脂肪中の2%を上限とするトランス脂肪酸を、すべての食品に制限するものです。


3番目のレポート

このキャンペーンは、メディアを通しての産業界への圧力と、鍵になる政治化との信頼を続けられたことにより、成功した。
  たぶん、私達は、懸命な食品農業大臣を持ってラッキーだった。


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