板谷さんは土壌消毒をせず、すいかを育てます。
土壌消毒は、土壌中の線虫や害虫による被害を防ぐために使用されます。特定の菌に効く殺菌剤と違い、土壌消毒は、土に毒ガスを注入して、土壌中の良い菌も悪い菌もすべて皆殺しにします。
すいかに使用される土壌消毒D-D剤(ジクロロプロペン)は、 発がん性があります。 地下水・大気汚染を通して、人体への影響が懸念されます。
一般的に土壌くん蒸剤として使用されるD-D剤に関する論文をご紹介します。
Community exposures to airborne agricultural pesticide in Calfornia :Ranking of inhalation risks.
カルフォルニア州での農薬の大気汚染、吸入リスクのランク
Sharon Lee カルフォルニア州健康サービス部
Environmental Health Perspectives volume 110 N12 December 2002
私達はカルフォルニア州大気資源局とカルフォルニア州農業規制部に提供してもらった大気中の農薬データをもとに、カルフォルニアの地域社会に住む人々の農業吸入による危険性を計算しました。
危険性は、農業濃度の中央値(一番多い濃度)、25%値(吸入濃度の高い方から25%の人が含まれる濃度)、5%値(高い吸入濃度から5%の人が含まれる濃度)で計算しました。
結果
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濃度の高い方から50%の人に |
25%の人に |
5%の人に |
1990年 |
6〜20人 |
20〜60人 |
70〜300人 |
2000年 |
0.1〜0.4人 |
0.5〜2人 |
4〜20人 |
*年度によって調査地点が変わり、その地域の農薬の使用が異なっているため差があります。
解説
カリフォルニア州は農薬の使用を監視しています。また、大気中の農薬を測定しています。今回の論文はカルフォルニア州の部局が出したものです。
商品名D-D剤(1,3−ジクロロプロペン)はアブラナ科(キャベツ・ダイコンなど)、ウリ類(キュウリ・スイカなど)、ナス科(トマト・ナスなど)、ホウレン草など作物の土壌消毒に使われる農薬で、日本では2004年に単剤9519トン、複合剤439トンが生産されています。
この論文でも発ガン危険性が計算されているように発ガン性があります。作物への残留はなさそうですが、地下水、大気を汚染しています。