害虫防除のネオニコチノイド

■ネオニコチノイド系農薬

斑点米の原因となるカメムシを防除するために、ネオニコチノイド系の農薬が使用されています。神経細胞間では、神経伝達物質とその受容体を介して情報伝達が行われています。ネオニコチノイドは、末梢神経や自律神経などにあるアセチルコリン受容体に結合してその働きを阻害し、筋肉は末梢神経に、内臓は自律神経に支配されているので、ネオニコチノイドによってそれらの働きもかく乱されることになります。殺虫剤の歴史を振り返ると、そのターゲットは常に昆虫の神経系。人も昆虫も神経系の基本構造は同じなので、人に影響が出るのは当たりまえなんだそうです。(東京都神経科学総合研究所:木村―黒田純子2009年10月21日発行の消費者レポートより)

■フランスでは販売停止

2004年、フランスではミツバチの大量死を招いたと疑われるフィプロニルを含む6種類の殺虫剤の商品化とフランス国内での使用を禁止するという発表がされ、またイミダクロプリドを活性成分とする同種製品でもミツバチ被害が疑われているため全面禁止の動きが出ています。

■育苗から収穫まで効果が持続するフィプロニル

このフィプロニルを有効成分とする殺虫剤、育苗時に何種類もの害虫を駆除するために使用されています。あるメーカーの商品を調べてみると育苗箱1箱30x60x3cmに対して50gもの量を推奨しています。この農薬の恐ろしいところは、育苗中だけでなくその後も効果が持続するという点です。これが意味するところは、フィプロニルが苗の根から吸収されていくということ、そしてその吸収されたフィプロニルが苗全体に浸透していき、長期間に渡り残留するということです。そのため育苗中はもちろん、収穫間際に現れるイナゴにまで効果を発揮します。製薬メーカーからしたら1度の施用で長期間に渡り効果が持続するため優れた商品として位置付けられていることでしょう。しかし、私たち消費者からしたら、そんな害虫駆除用の農薬づけになってできたお米、そしてこのような事実が知らされることもなく店頭に並んでいるという現実、とても理不尽な話だと思います。

■ミツバチの減少は何だったのか!

花粉を吸うミツバチ、根から吸収されて花粉にまで浸透した農薬が影響を及ぼしていると考えられます。農薬づけになった花粉を吸い続けることにより、いつしか致死量に至り死んでしまう。それまでは巣へと運び込み被害も拡大していく。このフィプロニルは農業で使用されているだけではありません。犬や猫に寄生するノミやダニを駆除するためのフロントラインという商品の主成分としても使われており、私たち身近なところにも存在しています。

ミツバチが身をもって知らせてくれた自然からのメッセージ、気付いたときからでいいと思います。けど、気付いたら行動してみませんか。少しでも危険を減らす方向へ。(木)

 

無農薬で栽培されている堀川さんはもちろん、中村さんも殺虫剤は未使用です。

堀川さん、中村さんのお米を食べて危険を減らす手助けとなってください。

(2011年5月4週)