除草剤シマジン

■除草剤シマジンの危険性

(農薬毒性の辞典第3版2006年8月16日発行からの抜粋)

トリアジン系の除草剤で、作物の播種後または生育期で、雑草の発生初期に土壌消毒すると、根から吸収され、その成長が抑制される。ラットやマウスにシマジンを皮下注射するか経口投与すると30%に腫瘍が発現した。アトラジン・シマジン複合材をマウスに腹腔内および皮下注射すると、腹腔内中皮腫やリンパ腫が見られた。EPA(アメリカ環境保護庁)は人に対して発ガンの恐れのある農薬として挙げている。

■94年に水質汚濁性農薬の指定を受ける

94年4月に、このシマジンは水質汚濁防止法で、水質汚濁性農薬の指定を受け、都道府県知事の許可がなければ使用できなくなりました。日本農薬株式会社が販売しているシマジン粒剤1の注意事項には、「使用規制がとられている地域ではその規制に従って使用する。」と書かれています。そしてまた、「砂土、水はけの良い土壌では薬害を生ずる恐れがあるので使用しない。河川、湖沼等及び浄水場の近くで散布する場合は、風向き、農薬の飛散状況に十分注意し、それらの場所に飛散する恐れが生じたときは、直ちに散布を中止してください。」とあります。

■08年の水質調査でもまだ検出されている

90年には都環境科学研究所の調査で多摩川の河川水に0.4μg/Lを検出、96年には横浜市環境科学研究所の調査で市内の河川水に70%の検出率で、最大1.00μg/L(平均0.04μg/L)を検出しています。そして08年に行われた埼玉県衛生研究所の、浄水場における原水中の農薬実態調査では、6月12日に採水した狭山市第一浄水場と鳩山町池田浄水場の原水から0.03μg/Lが検出されています(平成20年度浄水場における原水中の農薬実態調査実施要領)。

■現在は芝用の除草剤

今回調べたこの除草剤シマジンは、適応作物として芝があげられています。芝を育てた経験のある方なら分かると思いますが、芝の目の中から生えている雑草を抜くのは非常に手間がかかります。そんな一般の人が、このシマジンを購入して、危険性に注意を払うことなく使用することもきっと多いことでしょう。

■なぜ使用禁止にならないのでしょうか

一般に出回り続けている危険な農薬をなぜ、水質汚濁性農薬に指定するだけで、製造・販売禁止に至らないのでしょう。日本の規制はいつもメーカーの立場が優先され、実被害を受ける私たちは蚊帳の外といった感じで、大きな力(お金)が影響しているとしか思えません。そんな状況を変えるためにも無農薬で栽培されたお米を支えてください。よろしくお願いします。

(木 2011年6月4週)