ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より(第1回)

2010年9月8日 掲載

うちには、7歳と3歳の男の子がいます。赤ん坊の頃は、哺乳瓶を使うことがありましたが、ガラス製のものでした。プラスチック製のものは、熱湯を注ぐという点で抵抗があり、使いませんでした。そんなことに関連する新聞記事が半月ほど前に載っていました。

哺乳瓶やカップが子どもに影響を与える懸念がある

米食品医薬品局(FDA)は、プラスチック製哺乳瓶や缶詰の内面塗装などに使用される化学物質ビスフェノールA(BPA)が、胎児や乳幼児、子どもの脳、行動、前立腺への影響に、いくらかの懸念があるとの見解を発表し、プラスチックの一種のポリカーボネート製の哺乳瓶やカップに熱湯を注がないことや、傷がついた場合は捨てることを呼びかけているようです。これまでは、現在の摂取量なら安全としていましたが、専門家グループの報告書などを踏まえ、判断を変更したようです。ちなみに、厚生労働省によれば、日本ではガラス製の哺乳瓶が一般的で、ポリカーボネート製はほとんど使われていないとのことです。しかし、このビスフェノールA(以下、BPA)という物質を調べてみると、哺乳瓶などに限らず、かなり私たちに身近な物質のようですので、ご報告したいと思います。

ビスフェノールAは身近なものに使用され、存在する

BPAは、プラスチック製品、接着剤、電子材料、歯の詰め物などに使用されています。大気や公共用水域といった環境中や下水道にも存在しており、窯業・土石製品製造業、化学工業、プラスチック製品製造業などが排出源となっています。また、食物、飲料水、地下水などからも検出されています。毒性については、環境ホルモン作用、脳への影響、肥満に関連するデータが報告されています。発がん性については、主要な国際的機関から認定されてはいないものの、アメリカ国家毒性計画(NTP)による実験では、発がん性を示すデータが報告されており、乳がんや前立腺がんになる感受性を増加させることも懸念されています。

食品安全委員会によれば、BPAは1997(平成9)年頃から、国内外において内分泌系への影響が懸念される物質として社会的な関心が持たれるようになりました。しかし、BPAの国内生産量と輸出量の推移を見ると、その平成9年以降、増加の一途を辿っており、平成14年には、生産量は2倍近くの約45万t、輸出量にいたっては、4倍近くの約16万tに跳ね上がっています。これは、明らかにおかしな傾向ではありませんか?

国内のビスフェノールAのリスク評価は検討中

国内におけるBPAのリスク評価については、現在詳細に検討を行っているところで、国際機関等における評価の動向も踏まえた上で、可能な限り速やかに科学的な評価結果を取りまとめていくこととするそうです。灰色のままでは、生産量も使用量もどんどん増加してしまうようなので、本当に早い解決が待ち望まれますね。 (新山雅広)

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