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ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より(第5回)
2010年12月14日 掲載今回は、ビスフェノールA(BPA)そのものについての話題は一休みしたいと思います。これまでBPAについて触れてきた中で、しばしば耐容一日摂取量という用語を使ってきました。この用語について、少し詳しくご説明したいと思います。
以前に耐容一日摂取量とは、「食品の消費に伴い摂取される汚染物質に対してヒトが許容できる量」として簡単に触れました。例えば、BPAの場合は、主要国際的機関により50μg/kg体重/日と定められています(μgは100万分の1g)。これは、体重が50kgのヒトであれば、一日当たり2500μg(2.5mg)までならBPAを一生涯にわたり摂取し続けたとしても、危害をもたらさないというように解釈できます。体重が25kgの子供であれば、半分の1250μgであり、体重の少ない赤ちゃんや幼児は大人に比べて許容量は小さくなるわけです。

この耐容一日摂取量は、実験動物で毒性試験を行うことにより、定められます。動物実験で、どんな有害な影響も認められなかった容量(無毒性量)を求め、その100(またはそれ以上)分の1として耐容一日摂取量が決められるのです。
耐容一日摂取量=無毒性量×1/100
こうして定められた耐容一日摂取量により、化学物質の使用基準が決められます。例えば、BPAの場合は、日本製缶協会(2008)によるガイドライン内で定められた溶出試験では、一般食品用途向けが0.01μg/ml以下、飲料用途向けが0.005μg/ml以下とされています。
さて、毒性という点で、食品添加物と農薬を比較すると、一般に農薬に用いられる化学物質の方が極めて強い毒性を持つようです。例えば、保存料として使用されるソルビン酸は、動物に0.37μg/kg体重/日を投与した時にはじめて有害な影響が現れますが、除草剤として使用されているアラクロールは、たった0.0005μg/kg体重/日で毒性が現れるのです。実にソルビン酸の約700分の1の量です。
ソルビン酸 |
0.37μg/kg体重/日 |
|
アラクロール |
0.0005μg/kg体重/日 |
前回の配達員便りで、缶詰食品の消費に伴い摂取されるBPAの危険性は、日本の平均的な缶詰を一日1個未満にしておけば良いという内容を書きました。しかし、缶詰食品と違って、野菜や果物や米は、毎日摂取する(あるいは摂取することが望ましい)食べ物です。つまり、もしそれらが基準値を超えた有害な化学物質を含んでいたとしたら、長期にわたり、その有害物質を摂取し続けることとなり、将来的に私たちの体に影響が出てしまう(慢性毒性と言います)恐れの高い食べ物なのです。それにも関わらず、毒性の極めて強い農薬が一般に使用されており、十分な残留農薬の検査も行われていないという日本の現状を何とかして変えていかなければならないと思います。 (新山雅広)
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- 第3回 ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より
- 第4回 ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より
- 第5回 ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より
- 第6回 ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より
- 最終回 ビスフェノールAについて 〜配達員便り〜より


